売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則とは?:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
売上とはあなたの誠実さを証明し、利益とは知恵の深さを測るもの。一生懸命に頑張っているのに、成果として表れないのは、ただ、誠実さと知恵深さを発揮する角度が違うのかもしれない。
price(価格)→ philosophy(哲学・理念)
消費者は単なる安さ(price)だけを求めてはいません。多くの事業者が低価格ばかりを訴求し、ほかの選択肢を提示しないから価格で選ばざるを得ないだけです。商品の中に哲学や理念(philosophy)を感じられれば価格は二の次になります。
place(立地・流通)→ promise(約束・絆)
ビジネスはこれまで有望な立地・流通(place)を求めて立地を変え、流通を構築してきましたが、いまや私たちはスマホ一つで買い物ができます。それなのに、どんなに辺ぴな立地にあろうと来店客でにぎわう繁盛店があります。お客さまはそこに、そこでしか手に入れられない約束や絆(promise)を求め、わざわざ訪れてくるのです。
promotion(宣伝)→personality(個性・人柄)
IT技術の発達により、私たちは多量の宣伝(promotion)という洪水に飲み込まれています。溺れそうなあなたに手を差し伸べてくれるのは、信頼のおける人からの血の通った情報です。個性・人柄(personality)は、あなたが信頼のおける対象となるために欠かせない条件です。
大きさは強さではなく、小ささは弱さでもない
そんなことを、なぜ私があなたに伝えられるのでしょうか?
私はこれまで商業経営専門誌の記者・編集者として、四半世紀以上にわたって商業やビジネスを見続けてきました。日本を代表する大企業の経営者から小さなまちの小さな店の従業員まで、取材した事業者、店は4000を超えます。
そこでは、従来のマーケティング理論の常識を超えた“奇跡”にたびたび出会ってきました。そして、そこには四つの共通点があることに気づいたのです。それが前述の「新しい4P」です。
人口増加、経済拡大を前提とした成功法則はもはや過去のものです。その事実にうすうす気づいていた矢先、新型コロナウイルス感染症が私たちを襲いました。
消費意識や生活様式は一変し、もう今までのルール上でいくら頑張っても明るい未来にはたどり着けません。いえ、頑張れば頑張るほど、当人ばかりか関わる人たちが不幸になります。
これまで、企業規模の大きさは強さの証明でした。しかし、人類史に刻まれる激変期にあって、単に大きいだけでは、それは強さではなくなりました。メキシコのユカタン半島に落ちた隕石が恐竜の時代を終わらせ、小さく弱いけれども変化に対応できた哺乳類が生き残ったのと、同じ時代局面を現代の経営者も迎えています。
こうした激動のビジネス環境を正しく捉え、成功へとたどりつく羅針盤こそ「新しい4P」なのです。そして答えは、業界や競合企業を探しても見つかりません。正解は、お客さまに向き合うあなた自身の中にあるのです。
考えてみてください。心から一人の人を喜ばせることがどんなに難しいかを。ところがあなたは、一人一人のお客さまにそんな喜びの仕事を、これまで毎日繰り返してきたのです。あなたには、お客さまに心から「ありがとう」と言われるビジネスができるはずです。そのときあなたは、目覚めよい快適な朝を迎えられるでしょう。
著者プロフィール:笹井清範(ささい きよのり)
商業経営出版社?商業界の旗艦誌「商業界」で現場取材を重ね、2007年より編集長。取材対象は中小独立店から大手チェーンストア、小売業から飲食・サービス業、卸売業まで幅広い企業規模・業種を網羅。取材累計は25年で4000社を超え、そこに共通する“繁盛の法則”の体系化をライフワークとする。2018年より、多くの著名な商業者を育成・輩出してきた「商業界ゼミナール」運営を担当、講演家としても事例と具体策の豊富な講演により、「やる気が湧いてくる」と多くの聴衆の支持を集める。
2020年7月、中小事業者と関わる人たちへの支援を目的に「商い未来研究所」設立。今後急速に進む人口減少・成熟化社会でも成長できる商人の育成を事業理念に、研修やコンサルティング、講演や執筆に取り組む。
編集者・取材者として鍛えたインタビュー技術によって、本人が認識していない強みや課題を顕在化させる“訊く力”に定評があり、日本全国の中小零細企業の業績向上、事業者のモチベーション向上に貢献している。商人応援のためのブログ「本日開店」では、取材から学んだ“商いの心と技”を毎日発信する。
1964年生まれ。東京都内の商店街で少年期を過ごす。立教大学法学部卒業。著書に『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』(同文舘出版)。座右の銘は「朝に礼拝、昼に精励、夕に感謝」。
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