テレビを使って1000万人にPRできれば売り上げがあがる!:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
大好きな相手にラブレターを書くように、プレスリリースを書く。テクニックを身につければ商品ヒットにつなげられる。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
最近は、テレビ業界の人以外にも知られるようになった「視聴率」。どれだけの人が見たかという指針で、これはコマーシャルの料金に直結し、さらにテレビ局の売り上げを左右します。よく、NHK大河ドラマが何%、紅白歌合戦が何%というのが、メディアをにぎわせています。
僕は、テレビの放送作家です。原稿を書くのも仕事ですが、ちょっとしたテクニックで視聴率を上げるのも僕の仕事なのです。あなたは、テレビを見る時にリモコンで簡単にチャンネルを変えると思います。ちょっとつまらないと、すぐにプッシュ。リモコンのスイッチの高さはわずか数ミリ。そのために僕らテレビ業界人は、アイデアを出し、テクニックを駆使するのです。以前、「特命リサーチ200X」という番組を担当していたとき、それこそオンエアの翌日に、紹介した本や商品が山のように売れたり、一夜にして億万長者が生まれたりする瞬間を何度も見てきました。株価が動いたこともあります。そんなテレビの力を目の当たりにしていたら、広告代理店からCMやPRの相談がくるようになりました。アドバイスをしたら、本当に簡単にモノが売れ出したのです。
メディアの中にいると、テレビはどんなものが好きなのか? この番組はどのような方向性の企画が好きなのか? この雑誌のこのコーナーはこういう趣旨のものを欲しがっているということが分かります。それを伝えているうちに戦略的PRコンサルタントと名乗るようになりました。家電製品、自動車、IT企業、エグゼクティブ・ファミリーサイト、飲食店、エステ、お花屋さん、運送業など、分野は多岐にわたります。
視聴率10%の番組が、20%になることはあまりありませんが、翌日の売り上げが数10倍になったり、年商が100倍になったりすることはありました。ちょっとテレビに出れば、100万人にPRすることができます。テクニックを身につけて真剣に取り組めば、1000万人に伝える事も可能です。そのうちの1%の人が購入しても10万人という数字になります。
1人でも多くの人に伝えることが、売り上げ向上につながるポイントです。
宣伝とPRの違いは?
もし、あなたの会社にたくさんの広告費があるなら、ぜひともテレビ番組でCMをガツンと放送して、放送局を儲けさせて、僕らテレビ番組を制作する業界人のギャランティを上げてください(笑)。でも、できれば宣伝とPRの両方共実施するのが効果的です。僕らテレビマンは、常に視聴率を1分単位で分析しているのですが、CMの間に視聴率が上がることはまずありません。それならばCMではない本編に、あなたの企業の製品やサービスを紹介してもらうことが効果的だと考えます。それならば、PRだけやればいいのではないか?と思いますが、PRには、テクニックが必要です。
よく、講演やセミナーなどで話すのですが、「広告は、ガソリンを大量に使って前進するモーターボート。PRは、風をつかみながら進むヨット」です。当然、ヨットの方が、操縦は数倍難しいのです。風を読み、バランスを考え前進しなければなりません。PRも一緒です。時代の風を読んで、少しずつ進むことが求められるのです。その際テクニックが求められ、その9割は、リリースの書き方だといえます。
企画こそが全て
新聞や、テレビ番組、雑誌は、何でできているか知っていますか? タレント、歌手、俳優はもちろんですが、もっと大切なものがあります。それは「企画」です。どんな番組をやるのか?どんな物語にするのか?どんな歌手を出すのか?その全てが企画なのです。
そう、メディアは企画重視なのです。
よく、メディアに、「プレスリリース」という名のお願い状が届くのですが、「お願いされてもなあ〜」「だったらお金出してCM出せよ!」と思ってしまうのが常です。
しかし、番組の企画にあった情報を提供してもらえば簡単に採用したくなります。企画こそすべてです。そこにマッチングするかどうかが大切なのです。では、どうすればいいのかというと、実はテレビ番組を見たり、新聞を読んだりしながら、「自社だったらどうなのだろうか?」「自分だったらどうすればいいのか?」とシミュレーションすることが訓練になります。すると、あなたの会社を企画にすることが割と簡単にできるようになってくるのです。
メディアの川上戦略。それはリサーチ会社
実はメディアは、情報を収集するために膨大な費用を使っています。番組を作ったりするのに欠かせない存在なのが、リサーチ会社です。僕ら放送作家も多くの情報を持っていますが、リサーチ会社にはかないません。
リサーチ会社に「安くて美味しいお店を調べてください」「すごい新製品はありませんか?」と調査を依頼しています。そう、番組制作の最も上流にいるのが、リサーチ会社なのです。そしてリサーチ会社も、新聞や雑誌から情報を手に入れたり、自らの足を使って調査したりするのです。常に新しい情報を欲しがっているのがリサーチ会社なのです。勘の良いあなたなら、既にお分かりですね。欲しいところに投げれば採用率はあがるのです。リサーチ会社は、ネットで検索できますし、番組のエンドロールにも登場します。是非ともリサーチ会社にリリースを送ってください。
プレスリリースはラブレターだ
送られてくるリリースの9割は、2秒以内にゴミ箱行きとなります。「せっかく書いたのにショック!」だとは思いますがそれが現実です。なぜなら、つまらないからです。「うちの製品です」「うちの会社の社長です」と書かれても、「だから?」でおしまいです。僕は、プレスリリースは、ラブレターだと思っています。あなたが大好きな相手にラブレターを書くとしたらどんなことを書きますか。そう、懇切丁寧に少しでも自分の事を分かってもらおうとするハズです。良かったら『プレスリリースはラブレター』(万来舎)をご覧下さい。
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著者プロフィール:野呂エイシロウ
1967年生まれ。小、中、高と放送部に従事し、ラジオのハガキ職人として活躍。大学時代に学生シンクタンクに参加。マーケティング活動の傍ら、学生用クレジットカードや学生向け家電の企画・マーケティングに従事し、いずれもヒット。出版社を経て「天才たけしの元気が出るテレビ」で放送作家へ。「鉄腕DASH」「特命リサーチ200X」「奇跡体験アンビリバボー」などを構成。戦略的PRコンサルタントになり、最近は仕事を成功に導く「フルフラット思考」を考案し企業を成功に導いている。Twitterはnoronoro093。メールアドレスはeishiro.noro@gmail.com。
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