ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
“辞めません、でも頑張りません”「新・ぶら下がり社員」が会社をむしばむ(1/2 ページ)
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「新・ぶら下がり社員」の出現
数年前まで、企業の経営者や人事担当者からよく聞いたのは、「今の若者はすぐに会社を辞めてしまう」という悩みでした。入社して3年に満たない社員が辞めてしまう、30歳前後のこれから組織の中核を担う中堅社員が転職するといった人材の流出に頭を悩ませていました。
その後、リーマンショック後の不景気によって転職市場は冷え込み、失業率は上がり転職したくてもできなくなってしまいました。人材の流出に歯止めがかかり、胸をなでおろしている企業も多いかもしれません。
しかし、ここで新たな問題点が浮上してきたのです。それが「新・ぶら下がり社員」の出現なのです。
「新・ぶら下がり社員」の特徴
仕事に対するやる気はない、けれども与えられた仕事はこなす。与えられた仕事はやる、けれども管理職になって責任を負うのは嫌だ。現状維持を望んでおり、昇進(上)を目指すわけでもなく、転職(横)をするわけでもない。すべてにおいて消極的である。私はこのような傾向の30歳前後の社員を「新・ぶら下がり社員」と呼んでいます。
新・ぶら下がり社員はいいかげんではなく、むしろまじめです。与えられた仕事はきちんとこなすし、遅刻やサボリもなく、残業も必要であればする。上司の言うことは素直に受け入れ、逆らったりはしない。一見、従順な社員なのです。
問題は、言わない限り動かないのです。自分から仕事のハードルを上げようとはしません。仕事は70%主義で、新しい提案などはまったくしません。いつまでたっても受身のままなのです。
新・ぶら下がり社員が会社を蝕む3つの要素
新・ぶら下がり社員ばかりになったら、企業はどうなるのでしょうか?
(1)企業の成長が止まる
企業の中核を担う社員が、現状維持を望む新・ぶら下がり社員で構成されたら、企業の体質が現状維持になるでしょう。企業にとって現状維持は衰退を意味します。今のような変化の激しい時代において現状維持はありえません。そして現状維持の企業は次々と市場から姿を消していくことになるのです。
(2)管理職がいなくなる
責任ある立場につきたくない、今の気楽な立場がいいという社員ばかりになったら、企業はどうなるのでしょうか。管理職になる人がいなくなっていくのです。管理職になりたくもない人を管理職にしても、高いパフォーマンスは期待できません。無理やり、管理職につかせようとしても、「心の病」を引き起こすことにしかならないのです。
(3)新・ぶら下がり病が伝染する
恐ろしいことに、新・ぶら下がり社員は伝染病のような威力を持っています。組織の中堅である30歳前後がぶら下がり、くすぶっていると、20代にとっては数年後自分もそうなるかもしれないと「近い現実」になってしまいます。そして、組織にはやる気のなさがまん延し、トップがいくら号令をかけても全力では動かない、新・ぶら下がり社員ばかりになっていくのです。
だから新・ぶら下がり社員の根絶は、企業にとって死活問題なのです。
30歳前後は、ビジネス社会の中でも非常に重要な時期だと考えています。新卒として入社して5~6年もすれば、ある程度の仕事の基礎力はついてきます。そのうえで、自分はどの方向に向かうのか、どの山を登るのかを決めるのがこの年代なのです。これからのビジネス人生の方向性を決める重要なポイントとなる時期だと考えます。
そのために、提唱しているのが、30歳前後の社員を対象にした「ミッション・クエスト」です。これは新・ぶら下がり社員と真正面から向き合い、埋没している自分の生きる目的・目標や夢を掘り起こし、それを組織において発揮することを支援する手法です。
実際に人は、劇的に変わることができます。育成に携わっている立場の私が「こうまで人は変わるものか」と驚かされるほど、70%主義でぶら下がっていた人が、100%どころか120%の力を発揮するようになりました。ぶら下がっていたからこそ、きっかけさえつかめば変われるのでしょう。
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