伸びる会社のコミュニケーション
【新連載】アイデアを生むのは人? それとも、コミュニケーション?(2/2 ページ)
かつては、世間を驚かせるような画期的な商品を生み出し続けていた会社が、時の経過とともに、平凡なアイデアしか生み出さなくなってしまった例は少なくありません。それは、非凡な人が平凡になってしまったからではなく、コミュニケーションが変わってしまったからです。
組織は、人が集まっていれば組織になるわけではありません。そこにコミュニケーションがあるから組織が成立します。もし、組織からコミュニケーションがなくなってしまったなら、それはただ人が集まっているだけの、無意味な集団に過ぎなくなってしまいます。つまり、組織はコミュニケーションによって構成されているのです。そのため、組織が変わるには、コミュニケーションが変わらなければなりません。
コミュニケーションは1人ひとりが行っているように捉えられがちですが、コミュニケーションは、そもそも1人ではできません。むしろ、人がコミュニケーションに参加していると考えた方が、問題がより明確になります。参加の対象となるコミュニケーション自体が創造性を欠いているので、斬新なアイデアが生まれてこないのです。
「原子力村の論理」に陥っていないか?
A社の商品企画部門におけるコミュニケーションは、経営者の好みや、マーケティングの理論、マニュアルに強く影響されていました。つまり、コミュニケーションに参加する個々の担当者からすれば、外側の基準に従って、コミュニケーションが進行していたと言えます。そこでは、担当者の価値観や感性がコミュニケーションに反映されず、あたかも人から幽体離脱したかのように、コミュニケーションが進んでいました。
コミュニケーションが人の外側の基準に従って動くとき、人はどこかにある答えを探そうとしてしまいます。けれどもしょせん探して見つけられるような解に、斬新なものはないでしょう。またチームの皆が自分の外の基準に則って答え探しをしたなら、そこから生まれるアイデアは似通ったものになってしまいます。せっかく異なる人が集まったにも関わらず、アイデアは画一的になってしまいます。
原発事故以来、「原子力村の論理」が批判されています。原子力ビジネスに携わる企業の人々や学者が、自分たちの都合のよい論理を築いて、自己正当化しているとの批判です。この「村の論理」も、コミュニケーションに参加する人からすると、外の基準です。
「村の論理」に従ってコミュニケーションが行われるとき、コミュニケーションは自分が従う論理を、より強化する方向に進んでしまいます。それは、現状肯定です。それによって、ますます変化が起こりにくくなります。私たちは、外部から「原子力村の論理」を非難しますが、私たちの会社のコミュニケーションも同じようになっていないか、客観的に見つめてみる必要があるでしょう。
コミュニケーションが外の基準に従っている限り、変化は起こりません。変化を起こす原動力は、むしろ人の内側にあるのです。
「村の論理」の中にいる人に、「話し方」「聞き方」のHowを教えても、「村の論理」を強化してしまうだけです。変化を起こすためには、そもそも私たち自身が、「何を話すべきか」「何を聞くべきか」という、Whatを問い直さなければならないのです。その内容について、次回以降、解説していきたいと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
伸びる会社のコミュニケーション
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
どの区立中からも通えるオンライン将棋部発足 休日はリアル、プロ級も指導 東京都大田区
-
2
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
3
ドコモFG、今秋までに金融AI試験版を開始 投資運用を助言し、若年層取り込み狙う
-
4
ITmedia エグゼクティブ勉強会スケジュール
-
5
第50回:なぜ「優秀なマネジャー」ほど経営に嫌われるのか
-
6
「人間洗濯機」が高齢者施設に 福祉の現場に万博技術導入 人手不足解消や産業成長に期待
-
7
「セキュリティは事業を活かす出汁、責任者はCIMOで目指せ」 - JTB 椎野氏
-
8
味の素社が挑む“dX”とAI駆動開発――“企画・開発・営業ができる人財”が新規事業を加速する
-
9
スキルの向上だけでは成長は望めない――より重要になる「成長マインドセット」とは
-
10
「レッドガス」時代の羅針盤【第三章】従来型グローバルサプライチェーン設計思想からの脱却
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー