あなたは大丈夫? 指示待ち人間を作るリーダー、5つのタイプ
タイプ4 任せきれないリーダー(2/2 ページ)
ただし、どのくらいの距離をあけて伴走をし、どんなタイミングや頻度で問いかけるのが効果的かは、共有コンテクストの量に依存する。いろいろ試し、フィードバックをもらいながら調整する努力を惜しんでは、あなたが期待するレベルの「考え抜いた」提案にはならないだろう(「タイプ1 聞き手の能力に頼りすぎるリーダー」参照)。
同じ答えを求めていないか?
広報リーダーとして考え抜いた結果、私は、あるイベントを企画し、Facebookイベントを立ち上げることを提案した。活動の認知向上と若手会員の純増という目標を達成するためには、Facebookアカウントを立ち上げるよりも有効だと考えたからだ。
自分と同じ答えでなくても、リーダーは「until you know better(あなたがもっとよい方法をみつけるまでは)」の態度を示したい(「タイプ2 叱れないリーダー」参照)
結果は、エグゼキューション(実行)の質に左右される。実行者が情熱をもって取り組めるプランの方が、エグゼキューションの質があがる。だから、単純にプランを比較するだけではなく、エグゼキューションの質も考慮することが重要だ。情熱をもって考え抜かれた提案を採用し、成果を引き出す社長を、私は何人も見てきた。
広報リーダーとしての提案は採用された。成果を出すために、私が熱心に取り組んだことは想像に難くないだろう。
サポート側にまわっているか?
日本を代表するあるグローバル企業のCIOは、自分の役割を「プランニング(計画)ではリード(先導)し、エグゼキューションでは下から支える」と表現する。PDCAを頻度高く回さなければならない昨今のビジネス環境においては、プランニングとエグゼキューションの垣根は低く、よりダイナミックに2つの役割を担うことが求められている。
彼はまた、「問題点は、フォーマル(公式)な報告ラインよりも、インフォーマル(非公式)なコミュンケーションから聞こえてくる。質問しながら社内を歩き回る“フットワーク”が大事」と語る。進捗会議の報告を待つだけでは、適切なサポートはできないということだ。
では、どんな質問をして歩き回ればよいのだろうか? リーダーをサポートする立場に自分を置いて、考えてみてほしい。ある中堅企業の社長は、「リーダーがいい仕事をできるように、自分に何ができるかを考えたい。だから、何をして欲しいのか、何を期待しているのかを尋ねる」と言う。
相手をリーダーと認めて接するということは、「あなたは何をすべきか」というアドバイスを与える立場から、「私に何ができるか」を考えて、サポートする立場にまわるということだ。
「How can I help you?(私にどうサポートできるか?)」。社長にこう問われることが、外資系企業ではよくあった。「サポートすることはあるか?」と問われれば、「NO」と返答できる。しかし、「私にどうサポートできるか?」は、サポートすることが前提だ。「NO」とは言えない。「私に何ができるか?」のヒントを得るのに有効な質問だ。
ギブアップをしていないか?
進捗を細かくチェックされたり、頼んでもいないのに手を出されたりすると、「信頼されていない」「任されていない」とがっかりするが、依頼したサポートが得られたらありがたい。
ところがこの質問は、答えるのが難しい。私も、社長に問われたときにはうまく答えられなかった。社長にサポートしてもらうことなど、考えたこともなかったからだ。
それでも問い続けられると、答えを準備するようになる。「関係部門の協力が得られるように、全社会議の場で重要性を語ってほしい」「社外の関係者も含めたワークショップの実現を後押ししてほしい」。普段から考える癖がつく。諦めずに、辛抱強く問いかけることが重要だ。
そして、難易度の高いリクエスト上がってきても、「難しい」「無理だ」とすぐにギブアップをしないことだ。リーダーが考え抜く姿勢を見せないと、メンバーも考え抜くようにはならない。対案を出してもいい。知恵を絞ってサポートする姿勢を示してほしい。それができなければ、「丸投げ」と同じだ。
お互いが、お互いのサポーター
誰もがリーダーである組織は、誰もがサポーターの組織だ。リーダーとサポーターの役割がダイナミックに入れ替わりながら、お互いがお互いのサポーターになる。日本人が得意とする他者への「敬意」や「献身」を生かせる組織なのではないだろうか。
上司と部下という固定的な上下関係を維持する限り、部下はいつまでも部下だ。あなたが上司という立場から降りて、リーダーとサポーターがダイナミックに入れ替わるフラットな横の関係を求めれば、部下は下に属するという立場から離れることができるはずだ
「任せて育てろ」と言われても、失敗が許されるようなぜいたくな環境ではない。それどころか、ますますスピードが求められている。自分がやったほうが早いし、確実だ。理論は分かるが、実践的ではない。
そう思ったあなたには、もう一度、この記事を読み返してもらいたい。「手を出すな」とは一言も言っていない。「何に、どう手を出すかは相手に決めてもらう。ただし、手をこまねいて待つのではなく、こちらから聞きに行く」。これが、私からの提案だ。
次回(第5回)のテーマは「タイプ5 れんがを積むリーダー」。命令されてれんがを積むリーダーのもとに、教会を建てるという目的意識をもったメンバーが育つか? 指示待ち人間をつくらないリーダーの在り方について、話したい。
藤田 智弥(ふじた ちひろ)
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)にて、BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)プロジェクトを中心に、コンサルタントとして5年の実務を経験後、ベンチャービジネスに転じ、2年で単年度黒字、4年で累損を一掃する100億円規模のビジネス立ち上げを経験する。
その後、ソフトバンクモバイル、ローソン、マクドナルド、アマゾンと転じ、経営層のマーケティング領域の意思決定をサポート。 孫正義氏、新浪剛史氏、原田泳幸氏の意思決定や組織運営を間近に見る中で、ゴール設定と達成イメージの言語化、視覚化の重要性を体感する。事業会社における経験はトータル19年。現在は、従業員、ビジネスパートナー、顧客、投資家、コミュニティー、家族など、みんなが社長に力を貸したくなる経営を提案し、「社長の360度サポーター化」を推進している。
慶應義塾大学卒。ビジネスコーチ。アンガーマネジメントコンサルタントTM。マーケティング・コンサルタント。
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