視点
企業の変身力を高める適所適財型BPR~生産性に対する誤解を超えて~(2/2 ページ)
未来逆算思考と多様性ある「個」
付加価値労働生産性向上に向けた留意点を3つ挙げる。
(1)「ありたい姿」に向けた付加価値創出ロードマップを描く
「手始めに、RPA(Robotic Process Automation)やAIを活用した既存事業の業務効率化余地を検討しよう」では何も変わらない。まず新規事業に期待する付加価値額(=労働投入量×生産性)を明確にし、逆算で既存事業の生産性向上目標を定める。順番が逆になると、新規事業は立ち上がらないし、既存事業には「また効率化か」という疲弊感が鬱積する。どんな事業にどれだけの人財を投入し、どれほどの生産性を期待するのか。ビジョンが共有されてこそ、既存事業も暗黙知の形式知化やデジタル化による生産性向上にモチベーション高く取り組むことができる。(図A1参照)
(2)社員を頭数で捉えない
事業は人なり。「個」人の適所適財なくして需要創造はおぼつかない。ただし、既存事業の部門長による評価は徹底排除すべきだ。これは、優秀な人財を拠出したがらないから、だけではない。そもそも「優秀」の定義が異なるからだ。既存事業のコア人財と新規事業創造人材は別物。既存事業のコア人財を集めても機能しない。過去の成功の体現者である経営者も同様で、経営者に「事業創造人財要件」を定義してもらったところ、全く的外れな要件ばかりだったという経済産業省の調査もある。
(3)チームに多様性を埋め込む
単一の価値観からイノベーションは生まれない。観察力、他社活用力、試行錯誤力、捨てる力、質問力など、事業創造に関連する「力」はさまざまある。これらの力を全て併せ持つ人財は存在しない。また、ひとくちに事業創造といっても、発想フェーズと実行フェーズでは求められる人財要件も異なる。発散型人財、収束型人財、実行型人財をバランスよく配置し、そこに業種・機能やデジタルの専門人財などを加えていく「妙」が求められる。ローランド・ベルガーの有する事業創造人財評価ツールの活用も手だ。(図A2参照)
適所適財による新たな付加価値創造
既存事業の業務効率化一辺倒のBPRはもうやめにしよう。日本企業が、付加価値の拡大と業務効率化をセットにした「適所適財型BPR」、ひいては真の生産性向上へと舵をきることを願ってやまない。
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