「星に願いを」――なぜ流れ星は地頭力強化の格好の教材なのか?:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
チャンスはいつ訪れるか分かりません。その時のために常に突き詰めて考える訓練が必要。
エレベータに乗った神様に会う時のために
「結論から」「全体から」「単純に」考えるための思考トレーニングとして、「エレベータテスト」があります。これは、例えば自分が社長直轄のプロジェクトの責任者になったとして、忙しい社長にあるとき偶然エレベータホールでばったり会って「例のプロジェクトの状況はどう?」といわれたときにエレベータに乗って降りるまでの「30秒」でいかにニーズに合った説明ができるかという訓練です。こうした、いつ出会うかもしれない社長を想定して短時間で要点をついた説明をするためには、普段から「結論から」「全体から」「単純に」考えていることが必須条件となるわけです。
ここまできてようやく、本タイトルの「流れ星」との関係を説明します。「流れ星に3回願い事を唱えると叶う」とよく言われていますが、皆さんはこの話を信じるでしょうか。ここに地頭力との関連があります。皆さん、流れ星はご覧になったことがありますか?よくニュースなどで「今夜は○○座流星群が見られます」といった報道があって、眠い目をこすりながら真夜中に起き出して流れ星を見た経験をお持ちの方も多いでしょう。でもあの流れ星、何分に1個か、しかもいつ出てくるか分からず、また出てきてもほんの一瞬で消えてしまいます。したがってこの瞬間に願い事を言うのはそう簡単ではありません。
「いつ出るか分からない」「ほんの一瞬」から連想されることは何でしょうか?
そうです。先に説明した「エレベータテスト」と「流れ星」は本質的に同じものなのです。「エレベータテスト」における「社長」の役割は、「流れ星」でいえば「天の神様」です。つまり、流れ星というのは「神様のエレベータテスト」ということです。いくら忙しい社長でも30秒の時間は取ってもらえますが、今度の相手は神様で、話を聞く相手は世界60億人の人たちです。(あるいは「こおろぎ」や「あめんぼ」の願いも聞かなければならないとなると、さらにとんでもない数になります)わたしたち1人1人に与えられた時間は0コンマ何秒しかないのです。
そうなれば、話はエレベータテストと同じです。流れ星が出ている超短時間に願い事を3回唱えるためには、「人生というプロジェクト」を究極のレベルで「結論から」「全体から」「単純に」考えておく必要があるのです。逆に言えば、そこまで常に自分の目指す姿を突き詰めて考えている人は、すべての行動の目的意識が明確になり、「神様」が現われようが現われまいが望みをかなえる可能性が高くなるというのは極めて理にかなったことと言えるでしょう。
(突然現われた神様への人生1度の一言が「えーっと……」とか「とんかつ食べたい」で終わってしまったら、あまりに悲しいですよね)皆さんの準備は万全ですか?「神様」はたった今、あなたの後ろに立っているかもしれないのです。
経営者向け情報を集めた「ITmedia エグゼクティブ」の記事一覧をチェック
著者プロフィール:細谷功(ほそやいさお)
ビジネスコンサルタント、株式会社クニエ マネージングディレクター。業務改革を中心とした戦略立案、組織・業務プロセス・ITの仕組みづくり、改革計画の策定及び実行支援に関するコンサルティングを製造業を中心に担当。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- テレビを使って1000万人にPRできれば売り上げがあがる!
大好きな相手にラブレターを書くように、プレスリリースを書く。テクニックを身につければ商品ヒットにつなげられる。 - 分かっていてもできていない社長のための勉強法
時間のないビジネスマンが勉強するには、勉強上手な人の方法を取り入れるのも効率化の1つ。情報を理解して実践するために勉強は必要である。 - 人が育つ企業に共通する上司像とは?
人を尊重する会社は業績も向上する。部下に愛情を注ぎ、仕事へのチャレンジを喜びとする魅力的な上司になろう。 - 資金繰りの悩みは「お金の見える化」でスッキリ解決!
企業の存続に欠かせない資金繰り。なぜか悪化するときは突然である。経済危機がひとまず収まった今、資金繰りを4つの通帳で管理してみてはいかがだろう。 - あなたの人材価値は、ここで判断されている!
この厳しい時代でも人材は必要とされている。実際の年収を超えた価値が提供できるか、その価値が世の中で認められているか。成功している経営者やリーダーから学ぶ人間力とは。 - 会社は部長につぶされる!
今すぐ会社を変えたいのならまず組織作りから。会社をつぶすのも、成長させるのも部長に懸かっている。 - 大きな器のリーダーを目指そう
なぜ、「あの人と一緒に働きたい」「あの人について行きたい」と思うのか。リーダーシップは右脳的か、左脳的かで分けられる。 - メールでモテるための3カ条
メールは伝達の方法として便利なだけではない。言葉の使い方しだいでは、見えない人との深いコミュニケーションを生み出すことも可能なツールだ。 - 「あなたのBest」でなく結果を出して――ビジネス英語に必要なネイティブ感覚
「洗練された英語を話したいがどうすればいいのか……」と考えたことがあるビジネスマンは多いだろう。一流のビジネスマンのように話したければ、一流のビジネスマンのスピーチをまねることから始めてみてはいかがだろうか。 - 「離れる勇気」を持つことが問題解決のコツ
手段ばかりに気を取られていると、目的を見失ってしまうことがある。問題を解決するには意識を変えて本質をとらえることが肝要だ。 - トップにもの言えぬ社員――かつての軍部とよく似た会社
戦時中の日本海軍に関するドキュメンタリーを見ていて気が付いたことがある。それは、現在の企業に通じる事象があまりにも多かったことだ。 - “ギスギス”する職場、その背後にある見えない問題とは
社員の不満を解消することで、働きやすい職場を作ることができるかもしれない。だが、それによって企業の業績が向上するかどうかは別問題であるという。 - 女性カウンセラーに悩み相談:リーダーシップのスキル向上は何をすれば認めてもらえるか?
勤務評定で「本年度はリーダーシップのスキルを磨くように」と上司から言われたが、具体的に何をすればスキルの向上を認めてもらえるのか?――リーダーシップに必要な3つの条件を理解しよう。 - 職場改善道場:社員と対話しないリーダーを見過ごすな
組織における問題の多くはコミュニケーションに関係する。ただし社員同士がやみくもに対話の量を増やせば解決するものではない。組織の中核となる人物の行動が鍵を握るからだ。