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2015年までは通貨と株で資産を守れ!ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

世界経済の混迷はしばらく続くだろう。資産を増やすより守ることが重要になる。

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つながっている世界経済

 一国の破綻がある国の銀行を破綻に追い込み、ある国の銀行の破綻が一国を破綻させてしまう。まるでドミノ倒しのように、世界経済はすべてがつながっています。こうして世界が抱えるリスクは、連鎖経済によって拡大を続けています。連鎖性が高まっている現在のグローバル経済では、ほんの小さなほころびが大きな危機へと拡大していきます。しかもそのスピードは非常に速く、ごく短期間で世界中へと拡散するという性質を持っています。

 最大のポイントは、ゆがみが永遠に拡大し続けることはできないという点です。いつか必ず、ゆがみの原因である不均衡を解消しようとする強い力が働く時がやって来ます。もう1つのポイントは、その力の大きさによって、不均衡の解消の度合いには差が生じるという点です。

 不均衡をすべて解消するような「大きな惨劇」が起こった場合は、ゆがみも大幅に解消されますから、当分は次の惨劇が起こる心配もなくなるでしょう。逆に、不均衡をあまり解消できない「小さな惨劇」の場合には、ゆがみも十分に残ることになります。そして、短い期間で再び不均衡が積み重なり、またもや惨劇が繰り返される可能性が高まります。

 地震に例えると、関東大震災や東日本大震災クラスの地震が起これば、ゆがみは一気に解消されますが、震度5くらいの地震の場合、短い周期で同規模の地震が発生する可能性は非常に高くなるのです。この5年間で起こったこれらの出来事は、不均衡をすべて解消できるほどの「大惨劇」とはいえませんでした。

 マネー経済の規模は、サブプライム危機やリーマンショックによって一時的には縮小に向かいました。しかし、その後は先進各国が金融緩和を進めたために、市場に大量のマネーが供給され、再び実体経済に比べて膨張する度合いを高めてきています。このことは、リーマンショック級の危機が、2015年ごろまでにもう一度起こる可能性を示しています。

 わたしたちはしばらくの間、マネー経済がもたらす「不安定」な世界とつき合っていかざるをえません。マネー経済は世界のどこかにある不均衡を探して、それを攻撃します。それが周期的に危機を誘発するのです。ギリシャ危機が欧州全体の危機に拡大していった過程は、まさにその特性を象徴しています。

 マネー経済は自己崩壊をくり返す性質を帯びています。その欲望の分だけ膨張し、勝手に失望とともに縮小していくのです。マネーは高いリターンを求めて、世界中をかけめぐります。その結果、常にどこかでバブルが生み出され、そのバブルを自ら崩壊させます。バブルが崩壊した時、その影響は世界中をかけめぐり、不安定な世界がもたらされることになるのです。

 よって、しばらくは、資産の運用しようと考えるよりも、資産を守るという姿勢が重要になってくるだとうと思われます。

著者プロフィール:中原圭介(なかはら けいすけ)

金融・経営のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」のエコノミスト兼アドバイザーして活動。金融機関や企業への助言・提案や富裕層の資産運用コンサルティングを行う傍ら、執筆・セミナーなどで金融教育・投資家教育の普及に努めている。経済だけでなく、歴史や心理学など、幅広い視点から世界経済の動向を分析し、経済予測の正確さには定評がある。主な著書に『2013年 大暴落後の日本経済』『経済予測脳で人生が変わる!』(ダイヤモンド社)、『騙されないための世界経済入門』『サブプライム後の新世界経済』(フォレスト出版)、『お金の神様』(講談社)などがある。


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