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決めつけは百害あって一利なしビジネスマンの悩み相談室(2/2 ページ)

「思考の枠」にはまっていないだろうか。変化に対応するには、思考の枠を広げる、取り去るなど常に新しいものを取り入れることが求められる。

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サーバントリーダーシップ

 「サーバントリーダーシップ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。サーバントという言葉は召使、使用人と訳されるが、もともとの語源はserve、仕える、○○のために尽くすという意味である。リーダーが部下に仕え、部下のために尽くす。部下をサポートし支援する。部下ができるようになるように手伝うという意味である。

 わたしは21世紀は「サーバントリーダーシップの時代」だと考えている。リーダーはトップダウンで何もかも自分が決めて推し進めるのではなく、部下が成功するように支援する、その姿勢が求められるのである。

 前回「怒る」ことについて話したが、相手を決めつけるから腹が立ち、声を荒げることになるのである。先入観を持たずに中立的な状態で接することが欠かせない。

 それではどのように部下を支援したらいいのだろうか。次の3つの方法が考えられる。

(1)話を聞く

 まずは何よりも話を聞いてあげることである。事例にあるZさんの場合、「ただ……」と言って話をしたがっているのに、B課長はそれを遮ってしまっている。相手を支援するためには、まずは相手の言うことに耳を傾ける。その姿勢は絶対に欠かせない。

(2)置かれている状況を観察する

 相手の話を聞いたら、その人の置かれている状況を観察してあげることが大切である。M君は「社長決裁を待っている」と言っているが、何かしらの事情で期限を設けてほしくないと先方の担当者から言われているのかもしれない。置かれている状況を理解せずに、「こうしろ」と言っても人は動かない。なぜ期限を設けていないのか、その理由を聞いてあげるだけでも、相手の心は落ち着き、やる気はそがれないはずである。

(3)細かいところではなく、大局的に見る

 最後に相手の細かいところではなく、大局的に見てあげることが欠かせない。実際にお客さまと日々会い接している人は、ともすると目先のことだけに追われてしまう。しかし、ビジネスでは目先のことも大切だが、自分が組織の中でどんな役割を果たしているのか、自分のやっていることが組織にどのようなインパクトを与えるのか。より大局的な視点が必要になる。

これからはチームの時代

 わたしは、これからはチームの時代だと考えている。カリスマ的なリーダーがいて、そのリーダーが強い力を持って一人でみんなを引っ張っていけば、組織が回っていく時代もあった。しかし、そのような時代はとうに終わり、今はリーダーだけではつき進めない時代である。世の中が目まぐるしく変化し、情報があふれる中で、みんなが持っているものを生かし、最大限発揮させ、チームとして実行し成果を残す。

 戦略はリーダーが中心となって考えるべきだが、実行はチームが行う。最高のリーダーとは、人を評価する前に支援する人である。相手を決めつけていては、そのような組織は絶対にできない。思考の枠―-固定概念、先入観を取り去り、新しい視点で部下を見る。そして部下が動きやすい環境を作る。それがまさに今求められているのである。

 ぜひ実践してほしい。


著者プロフィール

細川馨(ほそかわ かおる)

ビジネスコーチ株式会社代表取締役

外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。



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