できるリーダーは、感情を資源ととらえる:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
感じ方、考え方など多様な価値観を持つ部下たちを同じように管理していては「創造性を発揮する組織」にはならない。これからのリーダーにはノーブルゴールを追求してほしい。
毎朝、チーム全体を"6秒"点検する
毎朝、部下たちをひととおり見渡して、それぞれの調子を点検する6秒間。様子や表情から「快」か「不快か」、あるいは「元気」か「疲労」状態かをまずは観察してみてください。
チーム全体の調子、一人ひとりの部下の調子、状態を把握しながらあなたの6秒感覚を養う時間にあててみてください。たった6秒間ですが、あなたにもたらす情報は確実に増えるはずです。
ノーブルゴールを追求する
部下の能力を引き出す、組織運営力を高めることができるリーダーに求められていることではありますが、いつも部下や組織にフォーカスをしていると、自分は二の次のような感覚に陥ることがあります。「リーダーである自分」を一旦脇に置いておき、自分を"一人の人間"として捉え、人生を考えることで、あなたのいまの状況と、そこから続いていく未来が見えてくるものがあり、あらためて自分らしいリーダー像をみつめることができます。
そのキーワードは、ノーブルゴールです。"ノーブル(noble)"は「崇高な」「堂々とした」という意味です。ノーブルゴールとは、目標や夢などの「目指したい到達点」を指すのではなく、そこに向かっていく自分の在りかたや道のたどりかたを含めた「生きざま」のことをいいます。人は過去の経験によって形作られます。自分の人生は「どうあるべきか」「どうたどるべきか」と問い続けた未来のイメージが過去の経験と相まって、新たな自分の一部となっていきます。
厳しい局面での意思決定や部下に影響を与える存在となるリーダーだからこそ、「自分らしい、堂々としたリーダー」であることが、部下だけでなくあなた自身も生かすことができるのです。
拙著「できるリーダーは部下の感情を動かす〜チームを強くするエモーショナル・インテリジェンス」では、現代のビジネスリーダーに向けて、組織の原動力はリーダーのEQ発揮であること、EQを発揮するリーダーとなるための方法を紹介しています。組織を支えるのはそこにいる全員であり、その実践的な中心を担うのが「リーダー」です。どんなビジネススキルを身につけるよりも、人の「感情」という資源を生かすことが、成功への近道となることでしょう。
著者プロフィール:田辺康広
シックスセカンズジャパン株式会社 代表取締役社長、2級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格)、NCDA全米キャリアデベロップメント協会会員、法政大学キャリアデザイン学部 非常勤講師
1979 年、東北大学卒業後、全日空入社。国際線営業、航空機調達、国際大学大学院(M.A.)終了、ジュネーブでの国際会議担当後、ロサンゼルス支店赴任。
11言語が飛び交う組織にてダイバーシティマネジメントを経験。
1997 年よりロサンゼルスにて起業し、EQ普及のため企業向けにEQ理論をベースとした管理者研修やキャリア開発プログラムを提供してきた。
2010 年、「ボーダーレスな時代に活躍できる人材のキーファクターはEQ]の思いから北米、中南米、欧州、東アジア、オセアニア、中近東、アフリカに拠点を置くEQ普及のグローバル組織、シックスセカンズ(米国、NPO)の日本法人を設立し、代表就任。
現在、EQ実践モデルを用いたEQ開発法やキャリア開発に役立てるEQ活用法など、年間100本超の講演・研修を実施。
7年連続登壇の公務員管理者職研修では、「研修後の受講者の人事考課を最も引き上げた講師」と高い評価を得ている。
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