「ソーシャルスタイル思考」で人間関係のストライクゾーンを広げる:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
「苦手だな」と思う人が誰にでもいるだろう。しかし苦手だと感じるのは相手に問題があるわけではなく、あなたのルールで相手を評価しているだけ。「相手のルール」に合わせたコミュニケーションを実践してみてはいかがだろうか。
タイプ別、困ったコミュニケーションと対処法/営業編
ドライバーのお客様:ドライなコミュニケーションで対処する
(1)「時間がないので、手短に説明してよ」と言ってくる
- 結論を伝える⇒その理由を語る⇒シーンを示す⇒再度、結論で締める。
(2)「もう、いいよ」と突き放される
- 言い方がストレートなだけ。「チャンスをください」とリベンジ魂を示す。負けん気を高く評価する傾向がある。
(3)「もっと、早くしなさいよ」と偉そうな口調で命令される
- 非難しているのではなく、主張しているだけ。バカにされたと思わないこと。
対エクスプレッシブのお客様:ちょっと適当なコミュニケーションで対処する
(1)言うことがコロコロかわる
- 適当ではなく、新しいことに関心があるため意見が変わりやすいだけ。契約など重要なことは気が変わらないうちに済ませる。
(2)ガッとやって、ドーンと行こうなど、擬態語が多く理解に困る
- ニュアンスで伝えたいと思っている。確認が必要な時は「具体的には?」と
問うのではなく、「分かりました。こういうことですか?」と確認する。
(3)「本気を見せてほしい」と言われ対応に困る
- 「本気とおっしゃいますと……」とたじろぐのはNG。「目を見てください」と切り返すだけでOK。ノリで対応するのが良い。
対エミアブルのお客様:優柔不断なコミュニケーションに対処する
(1)なかなか決断してくれない。これ以上何をすれば良いのか分からない
- 1人で決めるのが苦手。「差支えなければ、一緒に考えましょうか?」と相談相手になってあげる。(手をつなぎながら話を進めるイメージ)
(2)「分かった」と言いながら、返事を先延ばしにする
- ルーズととらえるのではなく、なんらかの問題があることを疑う。言いにくいのだ。まずは、問題を聞いてあげる。
(3)弱々しく、「出来ない理由」を言われても困る
- 共感をしてほしいだけ。話し相手になるだけでOK。説得をしなくても良い。
対アナリティカルのお客様:むっつりなコミュニケーションに対処する
(1)なかなか決断してくれない。無口なので何を考えているのか分からない。
- 頭の中で整理しているだけ。沈黙のままでよい。発酵中と考えよ。
(2)こちらに無いデータを欲しいと言われて困る
- お客様の目的はデータそのものではなく、自分の見解を作ることで安心が欲しいこと。データがなければ、近い事例を提示するだけでOK。
(3)「また、考えた上で電話する」と言われても信用できない。
- このタイプの場合は信用してよい。ただし、時間がかかることが多い。他に必要なデータはないかを確認し、デッドラインを決めておくことが重要。
このようにソーシャルスタイルを知っておけば、対応の糸口を探しやすくなります。
最後に
さて、あらゆるタイプの人とうまくやる鍵は、「相手のルール」で考えることにあると言いました。そのルールを見破る地図、それが「ソーシャルスタイル」なのです。自身だけではなく、部下や同僚、さらには上司にソーシャルスタイルを紹介することで、彼らの人間関係のストライクゾーンを広げることも可能です。素敵な職場になること間違いなしです。興味があれば、拙著「この世から苦手な人がいなくなる」を見てください。皆さまの明日のビジネスの一助になれば幸いです。
著者プロフィール:伊庭正康
(株)らしさラボ 代表取締役 営業コンサルタント、ストレスコーピングコーチ
1991年リクルートグループ入社。営業としては致命的となる人見知りを4万件を超える訪問活動を通じ克服。一つひとつの行動をお客様の「期待に応える」のではなく、「期待を超える」ことにシフトするだけで、一気にリピート率が高まる法則を発見。リクルート社においても珍しいとされるプレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞する。その後、営業部長、(株)フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。
2011年リクルートを卒業し、(株)らしさラボを設立。「要望に応えず、願望に応えよ」「主語をWEに変えよ」「敢えて、ひと手間を加えよ」といった、誰もが出来る理論が評判を呼び、多くのリーディングカンパニーにおいて年間260回の研修、コーチング、講演を行っている。リピート率は91%。
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