海外進出企業に学ぶこれからの戦い方
エッジの効いた弱者の戦略で戦う コニカミノルタ(1/2 ページ)
2014年3月期、コニカミノルタは売り上げ9438億円(年比116%)、営業利益581億円(前年比143%)を達成した。海外売上高比率は、この間に72%から77%と大きく伸長した。また、売上の77%を占める中核事業の情報機器事業においては、売上高は前年比125%、営業利益は202%の伸びを示しており、海外売上高比率は80%に上る。これらの実績は、事業規模が約4倍のキヤノン、約2倍のリコー、ゼロックスといった競合各社を上回るパフォーマンスである。弱者であるコニカミノルタは、なぜこのような結果を出すことができているのであろうか?
コニカミノルタは、2003年にコニカとミノルタが経営統合することにより誕生した。事業ドメインの近い両社が統合し、規模を作ることで厳しい競争環境を勝ち抜くことを目指したが、結果は目論見とは正反対のものとなった。同社は、2006年3月期に543億円もの最終赤字を計上することとなる。太田義勝 前取締役会議長(現 特別顧問)は、当時を振り返り「すべての事業が成長するというバラ色の計画を描き、腰砕けになってしまった」と語っている。(週刊ダイヤモンド2008年10月18日号)
当時の誤算は、創業事業であるフォトイメージング事業の急速な環境変化であった。銀塩カメラからデジタルカメラへのシフトは、想定をはるかに超えるスピードで進み、同社のビジネスを大きくむしばむこととなった。その結果、同社は2006年3月期に最終赤字に陥りながらも、創業事業のフォトイメージング事業を売却するという英断をすることになり、これが大きなターニングポイントになったと言える。この時を期に、それまでに進めていたジャンルトップ戦略(これまで培ってきた技術力を生かして各ジャンルのトップを目指す戦略)に邁進することになるのである。
情報機器事業でのジャンルトップ戦略の追求とサービス事業化
屋台骨である情報機器事業では、まず市場別の戦略を明確にして差異化を図っていった。2000年代中盤の欧米先進国市場では、粉砕トナーを使用するカラー印刷は品質が低く、モノクロ印刷が主流であった。そこで、品質の高いカラー印刷を可能とする液体の重合トナーを開発し、カラーMFP(Multifunction Printer)のビジネスを製品価格は上げずに品質を高めて展開した。(2012年度は、ドイツ、オーストリア、中国など15カ国でシェアNo.1、イギリス、フランス、インドなど14カ国でシェアNo.2となっている。出典:東京IRフェスタ2014 会社説明資料)
一方、新興国では不要な機能を削って低コスト化したプロダクションプリンタなどを投入してビジネスを展開した。この結果、2008年3月期には、売上高7010億円、営業利益率11.2%を達成するのである。弱者だからこそ、強大な競合とは異なる戦略を策定し、徹底的に集中してビジネスを展開することで、市場での地位を築き上げていったのである。
そして、No.1、2のシェアを獲得した市場で、2011年以降は単なる箱売りではなく、サービスへのビジネス転換を図っている。IOT(Internet of Things)のトレンドも見据えた上で、ドキュメントソリューションと企業のITの同期を図るサービスを作り上げていったのである。OPS(Optimized Print Services)として、必要な時に必要な印刷を可能とするだけでなく、ERPなどの基幹システムやワークフロー管理システムとも連動したドキュメントソリューションを展開している。
同社は、このビジネスを創り上げるために、2011年頃から積極的に欧米のIT企業を買収し、ビジネスを創り上げてきた。(2011年の8月から10月のわずか3カ月間に米国でITサービス企業を4社立て続けに買収している。)このOPSの特徴は、サービスとして独立しており、他社のMFPもサポートしている事である。大企業には、当然のことながら複数のメーカーのMFPが存在している。そこに、自社の製品だけをサポートするサービスを展開しても、市場のニーズにはそぐわない。そこで、他社のMFPもサポートし、製品更新時に自社製品の優位性をお客さまに納得してもらい更にシェアを伸ばしていく戦略を採っている。
また、トップクラスのシェアを誇る高速印刷を可能とするカラープロダクションプリント分野でも、事業のサービス化を推し進めている。2012年にフェデックスからビジネスコンビニの先駆けであるキンコーズの日本事業を買収し、2013年には韓国事業も買収した。企業のOPSとも連動させることで、用途に応じて必要な量を必要な場所で印刷できるサービスに発展させていく方針である。
このような市場ニーズに則したサービスの展開スピードを高め、深化させるために、コニカミノルタは今年2月にBIC(Business Innovation Center)を世界5極に展開すると発表した。これまで買収してきた各地のIT企業の人材もフル活用し、現地の市場ニーズを理解する現地メンバーが中心となって、今後のサービスを開発して行こうとする試みである。
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