視点

異業種発・日本発の医療機器イノベーションの創り方(2/4 ページ)

3、異業種からの医療機器市場への参入、スケールアップの仕方

 大企業が、事業の一つの柱として、ヘルスケア(本稿では医療機器を対象とする) への参入を図る場合、本稿のタイトルの通り、日本の臨床現場・技術を中心に革新的な事業コンセプトを生み出し、磨き上げ、日米欧3極同時申請により、一気呵成にグローバル展開、という戦略が、チャレンジングであるが有望な戦略オプションとなろう。(図A参照)

事業化ロードマップ

 ステップ1は、メディカルアンメットニーズを解決しうる新しいイノベーティブな製品コンセプトで、日米欧3極同時申請・上市を目指す。特定の診療科および疾患領域にフォーカスするのが得策である。製品コンセプト策定から、製品開発、日米欧それぞれの承認機関の承認を得て、上市という流れになる。製品開発から上市まで数年を要するため、一朝一夕に事業化できるものではない。上市後も、製品の改良、SKU拡充、製造品質の作り込みといった製品面での強化のみならず、疾患知識・製品知識向上、アカデミック・ネットワークの強化等の営業組織の強化など、製品面以外でもやるべきことが多いが、事業を盤石なものとするための投資が必要。

 海外展開については、申請前から、他力活用を想定しておくべき。自前展開もできないわけではないが、スピードとスケールを優先し、自前ではなく他社との協業による展開が望ましい。

 続いて、ステップ2は、ステップ1で築き上げたコア製品の横展開である。横展開には、2つのパターンがある。1つ目は、疾患領域製品スペシャリストとして、周辺製品のラインアップの拡充である。これは、特定の疾患や手技に対する知識、エビデンスや医学的な根拠も含めた製品知識、対象疾患領域のドクターとのネックワーキング、学会や専門誌での存在感の発揮など、疾患領域特有の競争力や参入障壁を築いていくことになる。

 もう1つは、要素技術スペシャリストとしての疾患領域横断的に事業拡大。カテーテル、ステント、ガイドワイヤなど、素材固有の技術力が多様な疾患領域を跨いで活用可能なケースが該当。いずれのパターンにせよ、はじめの一歩である、革新的な製品を生み出すことが最も重要であるため、ステップ1で押さえるべき要諦につき、次章で詳述させていただく。

印刷する
SNSでシェア

視点

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

藤原亮太
藤原亮太

ローランド・ベルガー プリンシパル 慶應義塾大学法学部法律学科卒業、都市銀行を経てローランド・ベルガーに参画。医療機器をはじめ自動車などの製造業に強み。東京オフィスのメドテックチームのコアメンバー。

関連記事

ITmedia エグゼクテブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら

ぜひこの機会にお申し込みください。

入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。

入会条件:
上場企業および上場相当企業の課長職以上

※入会は無料です

エグゼクティブコンテンツ

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia エグゼクティブ SNS

X @itm_executiveをフォロー

インフォメーション

注目情報をチェック

ITmediaエグゼクティブをフォロー