視点

次世代サプライチェーンマネジメントによる全体最適の拡張(2/2 ページ)

 といった、供給プロセスの範囲を超えた“全体最適”を実現できれば、それ自体が競争優位の源泉となる。もはや、「よい製品を作れば売れる、売れれば儲かる」という時代ではないからこそ、将来のさらなる成長を実現するためには、より広い範囲での最適化を追求し、以て企業としての競争力を高めることが枢要である。

3、見える化と仕組み化の重要性

 翻って、“全体最適”を実現するためには“見える化”が欠かせない。サプライチェーンのプロセス・機能別に、コストを分解できなければ、収益が悪化してもその原因を把握できない。製品別・顧客別に収支をブレークダウンできなければ、ある施策を実行することでの収益の影響をシミュレーションできないからである。

 そして、“見える化”に加えて、“全体最適”を促進するための“仕組み化”も必要である。生産・物流・営業といった部門ごとに収益の最大化を図ることも大事だが、それに任せていると“個別最適”に陥る。“全体最適”の追求を目的とした部門横断の組織を設置し、十分な権限と責任を与えることが肝要である。

 つまるところ、“見える化”と“仕組み化”なくして、サプライチェーンマネジメントによる“全体最適”は実現し得ない。サプライチェーンマネジメントを「将来の成長を実現するための競争優位の基盤」にしようとするのなら、“見える化”と“仕組み化”の範囲を供給のプロセス以外にも拡張すべきといえよう。


 さて、本稿を読まれた方の属する企業は、“全体最適”を実現できているだろうか。上述の項目に照らしてチェックして欲しい。「“全体最適”を実現できていない」「“全体最適”の範囲が供給プロセスに限定されている」とすれば、“見える化”や“仕組み化”を進めることで、収益力の向上を図る余地が多分に残されているということである。

著者プロフィール

小野塚 征志(Masashi Onozuka)

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了後、富士総合研究所、みずほ情報総研を経て現職。

サプライチェーン/ロジスティクス分野を中心に、長期ビジョン、経営計画、成長戦略、新規事業開発、M&A戦略、事業再構築、構造改革等を始めとする多様なコンサルティングサービスを展開。2019年3月、日本経済新聞出版社より『ロジスティクス4.0―物流の創造的革新』を上梓。

印刷する
SNSでシェア

視点

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

小野塚征志
小野塚征志

ローランド・ベルガー プリンシパル 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了後、日系シンクタンク、システムインテグレーターを経て現職。物流、流通、製造、金融などを中心に幅広いクライアントにおいて、新規事業戦略、成長戦略、企業再生、M&A戦略、オペレーション改善、サプライチェーンマネジメントなどを始めとする多様なプロジェクト経験を有する。

関連記事

ITmedia エグゼクテブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら

ぜひこの機会にお申し込みください。

入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。

入会条件:
上場企業および上場相当企業の課長職以上

※入会は無料です

エグゼクティブコンテンツ

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia エグゼクティブ SNS

X @itm_executiveをフォロー

インフォメーション

注目情報をチェック

ITmediaエグゼクティブをフォロー