14のチェックリストに見る、停滞する組織:問われるコーチング力(2/2 ページ)
北京五輪の星野ジャパンは、組織(チーム)で目標を共有せず遂行力に欠けていたため成功に結び付かなかった。それではあなたの組織に遂行力はあるか? チェックリストから判断しよう。
組織能力と組織IQ
組織遂行力のある組織とない組織の違いは何だろうか。組織遂行力のある組織は、組織のゴールが明確で、所属メンバー全員がゴールに向かって一致協力する体制が整っている。一方で、組織遂行力のない組織は、ゴールが不明確で、メンバーがそれぞれゴールとは違う方向を向いて勝手に自分の仕事をしているのである。
組織遂行力がないと、各メンバーが全力を尽くしているのに組織としての成果がまったく上がらない。その結果、前々回に述べた「思考の枠」にとらわれていく。自分はやることをやっている、頑張っている。組織として成果が上がらないのは他人のせいだ、上司がうまくマネジメントをしてないからだと思い、それぞれ責任をなすり付け合う。
「組織能力」と「組織IQ」という考え方がある。2008年6月19日付の日本経済新聞の「経済教室」で、早稲田大学の平野雅章教授が紹介している。組織IQとは、スタンフォード大学のメンデルソン教授らが開発したもので、下記の5つから構成される。
- 外部情報感度
- 内部情報流通
- 効果的な意思決定機構
- 組織フォーカス(決定方針に組織全体が経営資源と努力を集中するレベル)
- 継続的革新
この5つの面について、組織メンバーに対するアンケートやインタビュー結果から組織IQスコアを計算し、組織を評価する手法である。この5つがないと、組織IQは高まらず、遂行力のある組織にはならない。組織の能力は、そこに属する人の能力とは別物であり、組織の能力が低いと人的投資が無駄になる。
平野教授によると、現在、組織に属する人それぞれの資質を高めるという取り組みは多くの企業で試みられているが、組織IQを高めるという点に関しては、未開拓で手を付けていない組織が多い。リーダーは強いリーダーシップを発揮し、組織としての能力を発揮できる組織を再構築していく必要がある。
では、組織遂行力はどうしたら、高まるのだろうか。わたしは次の7つの方法を提唱したい。
- 組織の方向を決めるビジネスコーチングモデル
- ビジネスリーダーの自己診断
- 組織の人材分析
- ゴール達成に向け、全員を行動変革させる
- 情報共有の仕組みをつくり、活用する
- 戦術を構築する
- フォローアップする
次回以降、このような組織をつくるために、リーダーがどのように自己変革していくべきか具体的に解説していく。
プロフィール
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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