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大き過ぎて分からない海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/3 ページ)

デジタルメディアによって、知識の形や進化、とらえ方は変化している。従来の知識のピラミッドは、形の無い「知識のネットワーク」に変わりつつある。ネット世界の新しい理解の仕方とは。

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エグゼクティブブックサマリー
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 また一つ、デジタルメディアがもたらす進化が専門知識という点に大きな影響をもたらしていることが書いてあります。この影響が、これまで書籍で示されてきた専門知識の欠落した部分をデジタルメディアの力で、容易にリカバリしているということがよく理解できました。

ネットワーク化された専門知識

 インターネットは、ネットワーク化された専門知識の伝達手段です。つまり、つながりの無い人々の大きな集まりから生まれる新しい可能性を広める媒体としての役割を果たしています。集団になると人々はより賢くなるという考えは、真新しいものではありません。この考えが基盤となって、シンクタンクや研究センター、そして大学があるのです。

 ネットワーク上の集団(クラウド)は、現実世界の集団よりもはるかに巨大です。雑誌ワイヤードの記事の中でジェフ・ホーが作った造語「クラウドソーシング」は、沢山の人による取組みを広範囲で生かして、疑問に答えたり、データを収集したり、問題に取り組んだりするものです。

 インターネット上の集団は、さまざまな経歴、考え方、スキル、そして経験を持った人々で構成されています。この多様性のおかげで、新しいタイプの専門知識が生まれています。インターネット上の集団は、個人で成り立っているわけではありません。人々は、オンライン上で集まり、サブネットワーク上で興味のあることや経験を共有し、自分達の専門知識を組み合わせて問題に取り組んでいます。

 インターネットはすべての記事や文章を保持しています。これによって、ネットワーク化された知識の形態が作り出されます。専門知識は、オンライン上でリアルタイムに生まれます。例えば、ある技術会社が新しいオペレーティングシステムを発表し、ユーザーがその欠陥に気付くと、ユーザーはそれを報告し、ネットワークがその問題を解決します。インターネットは中心的媒体の機能を持ち、あらゆる種類の相互作用を可能にします。無制限に伸縮し、ごく少数から無数のユーザーの役に立っているのです。

 さまざまな人が集まったからといって、必ずしも最善の結果が得られると保証されるわけではありません。スコット・ペイジは自身の著書「The Difference(邦題「多様な意見」)」の中で、集団の中の個々人が異なる考え方を持ち、さまざまな意見や経験を持ち、さまざまな手法を使って問題に取り組む時、多様性の力は最大限発揮されると結論付けています。また、適切な多様性のレベルを見つけ、リーダーを決めて集団のメンバーにやるべきことに集中させ、本題からそれてしまった時は、議論を分散させるようペイジは勧めています。

 多様性が、問題解決へと前進すると言うことが結論です。デジタルメディアにはこれが、内蔵されてある言わば集団知能だと考えられます。そして、この集団知能を発揮するポイントは、多様性の有効水準を図る、目的に伴ったリーダーの決定と的確な指示、分散化の柔軟性この3つだと言えます。

著者紹介

デビッド・ワインバーガーは、ブロガーであり、ベストセラーとなった「The Cluetrain Manifesto」の共著者です。インターネットが社会に与える影響を研究するハーバード大学バークマンセンターの特別研究員です。


プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長

鬼塚俊宏氏

経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。


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