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オレンジ革命海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/3 ページ)

1つの優れたチームはいかにして組織全体を変えることができるか。

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エグゼクティブブックサマリー
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2.驚くことを避ける

 ブルーエンジェルスは、米海軍所属のアクロバット飛行隊です。1946年にチームが編成されて以来、のべ4億5千万人以上の観客の前でパフォーマンスを行ってきました。ブルーエンジェルスのパイロットは、密集した隊形でジェット機を飛行させ、正確なアクロバット飛行技術で観客を興奮させます。

 翼端がわずかでもずれれば、大事故につながります。空中での致命的な衝突を避けるためには、パイロットは全員、他のチームメイトがコンマ何秒単位で何をしているのか、正確に分かっていなければなりません。驚きは、彼らが最も必要としないものです。

 ブルーエンジェルスのメンバーであるスコット・ベアレは、パイロットがどうやって空中での見事な動きを合わせているのか次のように説明しています。「私達はイベントの前に必ず打ち合わせを行います。同じ飛行パターンを何百万回と飛んできたとしても、時間をかけてすべての手順と実行する方法を話し合います。パフォーマンスの隅から隅まで漏らすことなく話し合うのです」。

 ブルーエンジェルスは常に、必ずオープンでかなり細かいコミュニケーションを取るようメンバーに求めています。メンバーの命はそれにかかっているからです。

 あなたのチームの場合、メンバーの命が危険にさらされることは無いかもしれませんが、それでも常に明確にコミュニケーションを取ることは必要不可欠なことです。さもなければ、ありがたくない、ダメージを与えるような驚くことが起きてしまいます。

 驚くことを避けることは、危険因子を取り除くことにあります。何に集中することに重要視するかを事前に、答えを出すことが大切です。そしてマイナスの要因とその解決策を突き止めることができていない場合、遂行不可能とする覚悟も必要だと思います。また、この判断が、企業生命を左右することとなるのではないかと思います。

3.称賛する

 きちんと機能していないチームのメンバーは、互いに支え合わないばかりか、自分勝手なことをしてチームメイトの邪魔をしたり、反対したり、見下したりします。そういったメンバーは、物事が上手くいかないと相手を責め、ことあるごとにケンカし、互いを陥れようとします。当たり前ですが、このように争いばかりするチームは、決して価値のあるものを成し遂げることなどできません。

 反対に、大躍進するチームのメンバーは、メンバーの誰かが良い仕事をすると心から褒め称えます。例えば、靴のネット通販会社のザッポス社には、「SNAPS」というチームで行うある習慣があります。SNAPSとは「Super Nifty and Positive Stuff(とても素敵で前向きなこと)」の略です。

 「ザドル」と呼ばれるミーティングの中で、チームメンバーは、他のメンバーが貢献したことを発表し、その人が行ったとても素敵なことを称賛し、全員で指を鳴らします。この習慣を自分のチームのミーティングにも取り入れて下さい。大手スーパーマーケットのウォルマートや、ホームセンターのホーム・ディーポー、カード会社のアメリカン・エキスプレスでも、チームは定期的に集まってチームの成果を称賛しています。

 成果実績を称賛するシステムを定着させるということです。争いをなくし、チームが一丸となりまとまることで手に入れられることへの価値を高めていくことが称賛の習慣化です。これは、社内で広く周知していくことでより結果の向上へとつながるものだと思います。

優れたチームを立ち上げるための「ごく小さなアイディア」

 「3つの法則」は、極めて優れたチームを作るための「大きい」手法の1つです。これに加え、簡単で有益な「小さな」アイディアとテクニックを使って、優れたチームを作ることができます。次の11個の小さなアイディアを参考にして下さい。

優れたチームをつくる11のアイディア

1:経験の共有

 月に一度、CEOやその他の幹部と朝食を一緒に取り、チームメンバーと気軽に話をする機会を設けて下さい。

2:シンボルの共有

 チームのマスコットは人々を団結させます。自分のチームのマスコットを選んで下さい。

3:問題の共有

 「5分のルール」をメンバーに守らせて下さい。それは、解決できずに5分以上途方に暮れる問題が発生したら、助けを求めるというルールです。

4:報酬と評価の共有

 チームが何か特別なことを成し遂げたら、銅鑼を鳴らして下さい。

5:仕事以外の生活のバランス

 会社の外で行う楽しめるグループ活動にチームメンバーを参加させて下さい。例えば、スポーツイベントのための練習をしたり、一緒にボランティア活動を行ったりして下さい。

6:考えの共有

 毎週月曜日にはチームメンバーを集め、メンバーそれぞれにその週何を達成するつもりでいるのか皆と共有させて下さい。

7 : 知識とスキルの共有

 毎日30分間をチームメンバーに与え、それぞれの仕事に関連のある本を読んだり、勉強したりする時間にあてさせて下さい。

8:競争相手の共有

 さまざまなチームで競う、会社全体で行うスポーツリーグを作って下さい。

9:楽しみの共有

 自宅でバーベキューなどのチームメンバーが交流する機会を設けて下さい。

10:環境の共有

 仕事をする環境を民主化して下さい。専用の駐車スペースを設けるなどの重役特権は廃止して下さい。

11:人間関係の共有

 特別基金を組織し、いつかチームメンバーの誰かが必要になった時に使えるようにして下さい。

 3つの法則をあらゆる角度から強化する11のアイデアです。その一つひとつについて、理解を深めると、人が人らしく豊かに生活を営むためには、欠かすことができないセオリーだとも思えてなりません。つまり、これらのアイデアを礎に持つ企業こそが、雇用者の人生を豊かに創造する良質企業なのだと思います。

著者紹介

エイドリアン・ゴスティックは、「ニンジンの法則」を始めとする、企業文化に関する本の著者です。チェスター・エルトンは「ニンジンの法則」の共著者であり、モチベーションと認識の専門家です。


プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長

鬼塚俊宏氏

経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。


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