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「逆から考える」――限られた時間内に最大のアウトプットを出すためのヒントビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

目的を忘れて手段に走る、顧客視点を忘れて自社の論理で商品を作ってしまう。そんなことが起こってはいないだろうか。ビジネスでも人生でも、最終目的を意識することで手段を最適化することが必要だ。

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 このためには、「決められた納期に応じて仕事の精度を変える」という姿勢が必要になります。これはなかなか難しく、各人が持っている「ここまではやるべし」という仕事の要求精度は与えられた仕事の納期が1カ月でも1週間でも1日でも変えるのは困難ですが意識する必要があります。

「逆から考える」ための注意事項

 既に気づいている人も多いと思いますが、「逆から考える」ことは全ての場面において有効というわけではなく当然リスクも伴いますから、使い方や使う場面に気をつける必要があります。

 一つは、「逆から考える」というのは、いわゆる「落としどころ」を始めから想定することを意味します。これは一歩間違えば、「最初から犯人を決めつけて都合の良い証拠ばかりをでっち上げる」ことになりかねません。ですからこうした仮説思考を実践するためには、あくまでも仮説は仮説であって、情報収集や分析を進めてく上で矛盾が生じた場合には当初の仮説を柔軟に変更して対応するという姿勢と必ずセットで考える必要があります。

 もう一つの注意事項は、その「使いどころ」です。問題解決には視野を広げてさまざまな選択肢を出す「発散フェーズ」とそこから出てきた選択肢に優先順位をつけて絞り込んで行く「収束フェーズ」があります。仮説思考が有効なのは主に「収束フェーズ」の方です。始めから落としどころを想定していては広がるはずの視野も広がらず、選択肢も普段考えそうなありきたりのものしか出てこなくなってしまうからです。

 しかしながら往々にして企業における問題解決では「まずは情報収集してみよう」とか「いろいろな人に話を聞いてみよう」ということで何の仮説も持たずに発散フェーズばかりに時間をかけてしまう傾向になりがちなので、「まだまだ情報が足りない」ぐらいの段階で仮説を立ててからさらに情報を収集した方がうまくいく場合がほとんどといってよいと思います。

 ここまで解説してきた仮説思考というのは私たちの人生やキャリアプランを考える上でも応用が可能です。スポーツ選手やベンチャー経営者などがよく口にする台詞として早くから「夢を具体的に描いてそこに向かって努力する」というものがありますが、これが「逆から考える」ことのもう一つの応用ということができるでしょう。

著者プロフィール:

細谷功(ほそや いさお)

ビジネスコンサルタント。

1964年神奈川県生まれ。東京大学工学部を卒業後、株式会社東芝を経てビジネスコンサルティングの世界へ。アーンスト&ヤング、キャップジェミニなどの米仏日系コンサルティング会社での経験後、2009年より株式会社クニエのマネージングディレクター。2012年より同社コンサルティングフェロー。専門領域は、製品開発、営業、マーケティング領域を中心とした戦略策定や業務/IT改革に関するコンサルティング。併せて問題解決や思考力に関する講演やセミナーの企業や各種団体、大学等に対して多数実施。


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