仕事は6勝4敗でいい:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
普通の人間にとって常に全力投球することはなかなか難しい。力の入れ加減や入れ方、入れるポイントを重視することで「最強の会社員」になれる。
最強の会社員とは
「最強の会社員」の特長はたくさんあり、それらは本書の中で細かく紹介されているが、筆者はまず、最強の会社員は、きちんと言うべきことを言えることが重要であると考える。これは「言うべきこと」と「言わなくていいこと」がしっかりと見極められていることが前提であり、それは会社の方針だけでなく、自らの役割を的確に理解してはじめて出来ることであるが、何をするにも、「タイミング」が重要である。言うならばTPOということだが、「言うべきこと」も、的確なタイミングで、相手に分かるように説明する能力が必要である。
何か新しいことに挑戦したい、やりたいことが見つかったからやってみたい、というときにも、同様に「タイミング」がとても重要である。筆者は60歳のときに新しい生命保険会社「ライフネット生命」を起業したが、これも正しく「タイミング」があったからである。「天の時、地の利、人の和」という言葉はよく知られているが、天の時が冒頭に置かれているのは、決して偶然ではないのだ。
要するに、人生は、「凧揚げ」と似たようなものである。自分がいくら凧を揚げたいと願っても、風が吹かなければ凧は揚がらない。そして、いつ風が吹くかは、実は誰にも分からない。大切なのは、風が吹いたと思ったときに、すかさず凧を揚げること、つまり、いつでも準備だけは怠らないようにすることが重要なのだ。
また、リーダーになるべき人には、何が必要かについても記述した。結論だけ述べれば「強い思い」、すなわち、「何をしたいか」ということが、決定的に重要である。筆者は「何をしたいか」を敷延して、常に「世界経済計画のサブシステムを生きることだ」と話しているが、平たく言えば、「わたしが生きているこの世界をどう理解し、どこが嫌だ、ここを変えたい、と思い、自分は何を分担して生きるのか」ということである。この世界経営計画のサブシステムがはっきりと腑に落ちていない人は、リーダーになれないと思う。
このような、仕事や人生に向き合うための基本的な考え方や生き方に加え、「6勝4敗」では、「仕事を楽しめる人」「上司とうまく付き合える人」「くよくよしない人」「時間に追われない人」「説得がうまい人」「部下の力を引き出せる人」「変化に対応できる人」の7つの章で、筆者の考える最強の会社員になるための50の行動原則を紹介している。
「強さ」をどのように追い求めるかは人それぞれだが、この本には最強の会社員に近づくためのヒントがたくさん詰まっているので、ぜひ仕事の参考にしていただきたい。
著者プロフィール:出口治明
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長
1948年三重県美杉村(現・津市)生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に東奔西走する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。 2005年より東京大学総長室アドバイザー(非常勤)を勤め、2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2007年より早稲田大学大学院講師(非常勤)。2008年ライフネット生命保険株式会社(旧商号ネットライフ企画)が生命保険業免許を取得、ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長に就任。2010年より慶應義塾大学講師(非常勤)。2012年 ライフネット生命保険株式会社が東証マザーズに上場
著書に『直球勝負の会社』(ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『仕事は“6勝4敗"でいい「最強の会社員」の行動原則50』(朝日新聞出版)、『百年たっても後悔しない仕事のやり方』(ダイヤモンド社)、『生命保険はだれのものか』(ダイヤモンド社)、『常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『金融業と人口オーナス経済』(共著、日本評論社)、『生命保険新実務講座』(共著、有斐閣)、『変貌する生命保険』(共著、金融財政事情研究会)、『南スペイン・アンダルシアの風景』(共著、丸善)、『新資源大国を創る』(共著、時事通信社)、『地域金融と地域づくり』(共著、ぎょうせい)など。
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