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決算書がただ読めるだけのリーダー 使いこなせるリーダー、その違いとは?――リーダーの即決即断をサポートする「A4一枚決算書」活用術ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

「決算書くらい読めるよ」と言うリーダーはたくさんいるが、決算書が読めるだけでは単なる自己満足に過ぎない。決算書は読めるだけではなく、使いこなせるこそ初めて会社の利益に貢献する。

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 会計のスペシャリストを目指している人以外は、決算書をビジネス書と同じように読んでいくべきだと思っています。そこで、私はリーダーが決算書を使いこなせるようになるためのツールとして、「A4一枚決算書」というものを使い、相手の「決算書を使う目的」に合わせてアドバイスをしてきました。


「A4一枚決算書」サンプル図

 もちろん、この「A4一枚決算書」だけですべてのアドバイスができるとは言いません。しかし、私の経験上、約8割のアドバイスは、この「A4一枚決算書」の情報だけで行っており、この情報からだけでも相手の意思決定を十分にサポートできています。

リーダーの即決即断をサポートする「A4一枚決算書 活用術」

 本書では、主に「A4一枚決算書」の使い方を解説し、リーダーの皆さまが短時間で、決算書を使う目的に応じて必要な情報を抜き取る術を解説しています。

 「経営を改善する」という目的であれば、貸借対照表(B/S)よりも損益計算書(P/L)の推移を重点的にチェックし、特に、「売上総利益率が低下していないか」、「主要な販管費の売上に占める比率はどうなっているか」の2点をチェックしてから、改善策を立てていきます。

 「従業員の生産性を向上させる」という目的であれば、損益計算書(P/L)を従業員数で割った「1人当たり数値」や、人件費を売上総利益で割った労働分配率の推移から、改善の余地を探っていきます。

 「取引先の信用調査をする」という目的であれば、損益計算書(P/L)よりも貸借対照表(B/S)を重点的にチェックし、特に「債務超過」、「債務返済の困難性」、「売上高の著しい減少」、「継続的な経常損失」、「継続的な営業活動によるキャッシュフローのマイナス」という5つのサインが出ていないかを確認した上で、与信の判断をしていきます。

 「企業投資をする」という目的であれば、「A4一枚決算書」の数値をそのまま使わず、貸借対照表(B/S)も損益計算書(P/L)もキャッシュフロー計算書(C/F)も発行済株式数で割った「1株当たり数値」を算出し、それと株価との関係を見て、その企業投資が割高か割安かを判断していきます。

 「粉飾調査をする」という目的であれば、貸借対照表(B/S)のうち、粉飾で使われやすい科目である「売掛金」、「たな卸資産」、「買掛金」などの残高を、月平均売上高で割った回転期間分析をすることで、粉飾決算を見抜いていきます。

 ぜひ、本書で解説している「A4一枚決算書」を使って、リーダーの皆さまの即決即断にお役立て下さい。

著者プロフィール:香川晋平

香川会計事務所。公認会計士・税理士。

大手監査法人在籍時から、自費でビジネススクールに通学し、30歳でリフォームの?オンテックスに入社。ライバル会社との徹底した決算データ比較で、個人売上しか関心のなかった営業幹部の意識を180度転換させる。入社後わずか90日で経営管理本部取締役に就任、在任2年の累計利益は業種別ダントツ1となった。その後、5期連続50%超増収のベンチャー企業や従業員平均年収1,000万円超の少数精鋭企業などの会計顧問をし、数社の非常勤役員も務める。また、2008年から5年間関西大学非常勤講師を務め、就活の会社研究ツールとして決算書分析のノウハウを解説する「会計学特殊講義」を担当した。

著書に、『東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員』(リュウ・ブックス アステ新書)、『「デキるつもり」が会社を潰す』(中公新書ラクレ)、『もっと仕事は数字で考えなきゃ!』、『リーダーならもっと数字で考えなきゃ!』(ともに、あさ出版)がある。


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