発想をカタチにする技術――新しさを生みだすありきたりの壊し方:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
次々とヒットを飛ばす「サラリーマンNEO」「あまちゃん」ディレクターも最初は評価されていなかった。面白いアイディアを持っている、新しいことをしたいがどうすればいいのか。まずは自分の「枠」を取り払ってみよう。
(2)新しいことをやりたいなら、新しいことをやろうとしない
最初から「新しいことをやろう」で動くと、たいていは間違います。例えば、「固い番組にAV嬢が初めて出演する」。確かに初めてのことかもしれません。でも、その必然性がなければ「出たけど、それが何か?」ということで終わってしまいます。やるべきことは、自分が「これは面白い!」と思ったことを大切にすること。自分が面白いと思ったのであれば、それは大抵、会社にはないものなのです。
だから、それを上手に、「組織」や「会社」でやっていることや、多くの人の「共感」につないであげる。そのためにも、自分から離れて注意深く人の話を聞き、その人が言葉にしていないところまで汲み取ろうとしています。新しいことをやるための努力って、こっちなんです。
(3)目的を忘れない――好かれたいのか、仕事を成功させたいのか
新しいことをやろうとすると必ず障害があります。ぼくは「新しいものをやるときは、認められないものだ」と思っています。
「サラリーマンNEO」のスタートのとき、音声担当者ともめたことがあります。コントは勢いが大事。そこで、どんなに長いシーンでも一気に撮影することにしたのですが、音声担当者は丁寧に仕事をする人で、「そんな方法ではできない」と言われました。
ぼくはその人の話を徹底的に聞きました。それでも、着地点が見いだせなかったとき「録れなくてもいいです。録れなかったら責任を取ります」と言いました。「録れなくていい」といっても、相手はプロです。結局、ぼくのお願いした条件で仕事をしてくれました。
仕事をしているときに、特に相手がベテランだったり、年長者だったりすると、遠慮をしてしまうことはありますよ。でも、それは方向が間違っていると思うんです。「相手に好かれたい」と「仕事を成功させたい」。これはまったく違うことです。嫌われたくない一心で、「現場で調整しましょう」を繰り返したら、いい仕事にはなりません。結局その人と仕事をしたのは、それきりですが、「責任を取ります」と断言したぼくについてきてくれる人も出てきました。
新しいことをやるときは、不安になることもあります。
ぼくはNEOをやるまで、ドラマもコントも作ったことがありませんでした。でも、いろんなことを試して、やっとカタチにすることができました。すべては試すことから始まります。考えていても何も始まりません。自分のやりたいことの「本質」をしっかり見て、共感を得ていけば、「これが自分の仕事だ」と思えるものがいつかはできると思っています。
著者プロフィール:吉田照幸(よしだ てるゆき)
1969年、福岡県生まれ、山口県育ち。1993年NHK入局。NHK制作局第2制作センター エンターテインメント番組部ディレクター(2013年9月よりNHKエンタープライズ番組開発部エグゼクティブプロデューサー)。「のど自慢」、「小朝が参りました」などエンターテインメント系の番組を中心に活躍。広島放送局を経て番組開発部移動後、2004年に「サラリーマンNEO」を企画、以後全シリーズの演出を担当。型破りな番組として人気を博す一方、タニタの社食ブームの火付け役となり、Google本社に日本で初潜入、コントに日産のカルロス・ゴーン氏を引っ張り出すなどなど、話題となった。2011年には「劇場版サラリーマンNEO(笑)」の脚本・監督を務める。第35回・36回国際エミー賞コメディ部門ノミネート。2013年春からは、"異例のレンタル移籍"で、連続テレビ小説「あまちゃん」のセカンドディレクターとして演出担当。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「ソーシャルスタイル思考」で人間関係のストライクゾーンを広げる
- 決算書がただ読めるだけのリーダー 使いこなせるリーダー、その違いとは?――リーダーの即決即断をサポートする「A4一枚決算書」活用術
- もてるリーダー、もてないリーダー――対人魅力研究からのアプローチ
- グローバル時代のビジネスリーダーに「アジアで働く」経験がなぜ必要か?
- あなたのメッセージが伝わらないのは「声」が原因かも!?――1日5分のトレーニングで「よく通る低い声」を手にいれよう!
- 9割の人ができるのに、やっていない仕事のコツ
- 「小さくても大きなことができる時代の到来」――究極的にスリムな組織のためのヒント
- 誰でもできる聞く力、パワーアップ作戦――最初の一言のセオリー
- 「ここ一番」に強い人は「相手の脳ミソ」で考えている
- 企業で働くにも「起業家」のように働くことが必要な時代
- 遊んでいても結果を出す人 真面目にやっても結果の出ない人
- 習慣づくりに必要なのは「具体化」と「行動のコントロール」
- 独自の強み「キラーコンテンツ」の作り方
- 2014年の新興国経済と日本経済を俯瞰して予想する
- あなたもついている!? ビジネスシーン3つの嘘
- 仕事を楽にし、戦略的に人生を生きるためのセルフマネジメント
- 性格がよくなるメールの書き方
- 憲法改正は、本質を踏まえた「乗り降り自由」の議論が必要
- 実力は後からついてくる。まずは、自己PR力で理想の自分を売り込め!
- アベノミクスによる金融緩和は国民の9割を不幸にする
- 声を変えれば、うまく話せる!――「声」の認知的不協和を解消せよ!!
- 「吉田松陰」から学ぶ「明治維新をつくったリーダーシップ術」
- 極端な「自前主義」が会社を壊す――「何をやるか」ではなく「誰とやるか」で物事は決まる!
- 「会社の老化は止められない」――組織の宿命をどう乗り越えるか?
- 負けない仕事術のススメ
- セミナーで、600万円以上をドブに捨てた経験から学んだ部下マネジメント
- ドラッカー教授の言葉を実践する。一言を実践する。
- 女性を活用できる上司になる
- 忙しい経営者が、時間の余裕を作るための「ちょっとしたヒント」
- あなたはこの人生で「お金」を選びますか、それとも「生きがい」を求めますか?
- アベノミクスは歴史の教訓から何も学んでいない
- 仕事の悩みはコミュニケーションから
- 「マネジャーは“戦略力”で勝負!」こうすれば立案・実践できる
- 2分でわかる! ビジネス名著100冊のエッセンス
- 「おしい!広島県」の作り方――戦略的広報とは何か?
- 「学習という快感」を刺激せよ! ――伝わるコミュニケーションの方法論
- リーダーならもっと数字で考えなきゃ! ――51のフレーズで学ぶマネジメントの鉄則
- 現場のマネジャーに贈る! 行動科学マネジメントの教科書
- パーソナル・リーダーシップで仕事を進めろ! 〜9つのビジネス筋トレ
- 成功のトリセツ
- 求められるセルフマネジメント! 挫けない行動がリーダーを強くする
- リーダーシップ3.0――カリスマから支援者へ
- トラブルを防ぐ! パート・アルバイト雇用の法律Q&A
- お金のお片づけで今年はスッキリ「毎日○×チェックするだけ なぜかお金が貯まる手帳術」
- 仕事の生産性を高めるエクセル&ワード術
- 「豆と油で生まれ変わる! からだキレイダイエット」は哲学的な本なのである
- 急増する管理職になれない40代