器の大きい人は、メールラリーを、相手のメールで終わらせる度量がある:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
いい人だから、器が大きいとは限らない。まじめすぎると、器は大きくならない。では器を広げるにはどうすればいいのか。
器の大きな人は、「裸の王様」の見えない服が見える
「裸の王様」の教訓は、小学校では小学生の解釈で教えられます。「先入観でだまされてはいけない」「ミエを張ったらだまされる」「正直者の子どもは偉い」と教えられるのです。
大人が読むと、違う解釈になります。商人は、王様に「透明な糸で織った豪華な服」を売りつけます。王様はだまされて、透明の服を着てハダカでパレードします。村人たちは、誰も「王様はハダカだ」とは言いません。子どもだけが「王様はハダカだ」と言ってしまいます。
社会に出てそんなことをしたら、リーダーはやっていけません。サラリーマンでも、自営業でも、フリーランスでも、それをやったら仕事は手に入らなくなります。
子どもには、それが分からないのです。見えないものは見えないからです。「王様がハダカなのを自分だけが気づいた」と思っています。そんなことは、大人はみんな知っています。にもかかわらず、「すばらしい」と評価できるのです。関西人的には、「この洋服屋、うまいことやったな。鑑(かがみ)だね」と言われます。
どんな見える洋服よりも、見えない服は勝つのです。
大人はみんな「パンツ1枚でパレードできる王様はフトコロが大きい」と、王様をリスペクトしています。そういう事情が分からずに、子どもは「王様はハダカだ」と言うのです。
早く大人になって器を広げないと、社会では生きていけません。「正解は社会では正解ではない」ということを学ぶことが必要です。
私も「王様はハダカだ」と言ってしまうような子どもでした。正解と間違いがきちんと分かるから、「絶対これが正解じゃない。それはおかしいよ」と、ずっと親に文句を言っていました。
その時に、親は「融通きかさないとダメ」と教えてくれました。みんなが分かっていることに、たった1人、器の小さい人は気づいていません。これ見よがしに「王様はハダカだ」と言ってしまいます。
器が大きいというのは、見えないものを見る力です。
器が小さいと、見えているものしか見えません。
見えないものが見えるのが、器の大きさなのです。
著者プロフィール:中谷 彰宏
作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『器の大きい人、器の小さい人』『品のある人、品のない人』(いずれも、ぱる出版)など、950冊を超す。公式サイト http://www.an-web.com/
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 権威を後ろ盾とした思考停止は、一刻も早く改めたほうがいい
- 「“具体的”であることだけが本当に良いのか?」――「具体と抽象の往復」で考える
- リーダーは「孤独」を楽しめ――死ぬ気で働くリーダーにだけ人はついてくる
- 学歴や能力以上に大切なモノがある。それは、「好かれる」こと
- 銀座のママが教える、ビジネスパーソンが持つべき「心意気」とは?
- サイバーエージェント出身起業家が教える「ズバ抜けた結果」を生むメンバーの育て方
- 90日プランで見える結果をすぐに出す「初速思考」
- 吉田美和の歌詩で心を耕し、仕事への活力を養う
- 日本にこそ「クラウドファンディング」。その魅力とは?
- メンタルヘルスに強いリーダーになる! 簡単な方法
- 一流の人は真正面からうけとめない。「正攻法」を放棄するという「成功法」
- 物事の本質を見極めれば、グローバルに成功できる
- 葛藤を引き受ける覚悟がリーダーを成長させる
- 「仕事ができる人」より、「品のある人」が、チャンスをつかむ
- 「仕事づくり」でもっとも大切な考え方と行動
- 説得せずに説得する
- 「第8の習慣」が提示する、真のリーダーシップとは
- ダメ会議をやめたら会社が生まれ変わる!
- 逆境を一瞬で打破した人々が体得した「努力」×「閃き」の法則
- うまくいく人とうまくいかない人の違いとは?
- ビジネスに効く最強の「読書」
- 行動科学で組織の成果を上げる
- コーヒー業界から最新ビジネス戦略が分かる――「戦略は“1杯のコーヒー”から学べ」
- 「社畜脱走計画」のために知っておかなければならないこと
- 仕事に効く教養としての世界史
- 上司の機能を使い倒せる社員こそが、会社を成長させる
- 10年後も見た目が変わらない人
- 「本物の勉強法」──「試験」「仕事」に、一生使える勉強法
- 成功者になれる人にしか理解できない!? プラスの現実逃避
- チームシップが企業に与える影響とは
- 「三菱商事の鈴木です」と言う自己紹介は世界標準ではありません!──グローバルに活躍する技術
- 稼ぐ人はなぜ、1円玉を拾うのか?
- できる経営者は会社を作るとき明確な理由を持っている!
- 「数字、ファクト、ロジック」で物事はシンプルに決められる
- 世界をまとめて読む
- だから会議は意見が出てこない! 上司が言ってはいけない最大のNGワード
- 「あなたに会社をおまかせしたい」と言われる人は、何が違うのか?
- なぜ、あの動画ばかり再生されるのか? 2014年、動画最前線
- うそつきは「出世」の始まり!? できるウソのつき方とは?
- できるリーダーは3年戦略をきちんと創って進む!
- トップ1%のサッカープレイヤーに学ぶ成功哲学
- 仕事を「振る or 振られる立場」を巧みに使い分ける
- ダイエットの成功は仕事に何をもたらすのか
- 経営者・営業幹部必見! 社運をかけた「事業」を成功させる方法
- 成功の仕組みを借りて、自分の「ビジネスモデル」を作ろう
- 営業ならもっと数字で考えなきゃ!── 51のフレーズで学ぶ関西商人の魂