大人が夢中のブロックによる作品で想いを共有:ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)
子どもの玩具のイメージがあるLEGOブロック。このLEGOブロックを使って、大人の人財開発やキャリアデザイン、各種トレーニングを実践できる新しい手法がLEGOシリアスプレイメソッドである。
自分の目的や価値観をブロックで表現
ワークショップでは、「自分の思いやビジョンが周囲に伝わっているのか?」「相手の想いを本当に理解しているのか?」を、LEGOブロックによる創造物を通じて理解することを目指している。進め方のポイントを渡邉氏は、「楽しく、シンプルに……」と語る。
上手に何かを作る必要はない。逆に下手なくらいがちょうどいいという。その理由を渡邉氏は、「相手が"これは何ですか?"と聞きやすいからだ」と話す。今回のITmediaエグゼクティブ勉強会では、キャリアデザインに関するワークショップが実施された。
まずは自分を表現する練習として、数個のブロックを使って3分間で「アヒル」を作った。たった数個の同じ種類のブロックを使ったアヒルだが、出来上がったアヒルは人それぞれに異なっている。渡邉氏は、「自分と異なっている部分に対し、"なぜそうなのか?"を話し合うことが重要だ」と言う。
2番目のワークショップでは、一般的なLEGOブロックと顔、ガイコツ、お金、カツラ、武器などの特殊部品、動物キットなどを20個程度使って自分の興味のあるものを自由に作る。例えば、趣味やスポーツなどを表現する。出来上がった作品をメンバーに簡単に説明し、その作品に対しほかのメンバーは気になることを質問する。
質問は、「なぜここに赤いブロックを使ったのか?」「なぜこの人は右を向いているのか?」「ここの空間は何を意味しているのか?」など、具体的なものにすることが重要だという。
3番目のワークショップは、いまの仕事の状況を、さまざまなブロックを好きなだけ使って表現する。今回は出来上がった作品の説明をするのではなく、いまの仕事の状況を説明し、それに対してほかのメンバーが作品について質問する。
最後のワークショップでは、自分の「Will(目的、価値観)」を、表現し、相互共有する。このとき米国のキャリア研究者であるドナルド・E・スーパーが提唱する価値観の14分類をフレームワークとして活用。14分類を、自分にとって「心地よい」順に1位から14位まで並べ、上位3つ、下位3つから自分の価値観を明らかにする。
価値観の14分類は、「能力の活用」「達成」「美的追求」「貢献性」「自律」「創造性」「経済的報酬」「ライフスタイル」「身体的活動」「社会的評価」「チャレンジ」「社会的交流性」「多様性」「職場環境」で構成されている。
この結果に基づき、自分が仕事をする上で大切にしている3つの「価値観」を表現し、出来上がった作品をメンバーに説明し、ほかのメンバーはLEGOブロックの作品の気になる点について質問する。
実践した参加者からは、「通常の仕事では、ここまで創造力を発揮できることは少ない」「人の価値観がそれぞれ違うこと、自分に新たな一面があることを発見できた」など、前向きな感想を聞くことができた。
渡邉氏は、「ワークショップでは、自分のWill(目的、価値観)を、LEGOブロックを用いて表現し、相互共有することを目指している。自己の想い、組織のありたい姿などを表出し、共有する場の形成として有効な手法となるのがLEGOシリアスプレイメソッドだ」と締めくくった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 20代男性が好きなサッカー選手は?――つぶやきの分析でマーケティングが変わる
- リーダーこそ挑戦を――トライアスロンでチーム力と時間のマネージメントを学ぶ
- 途上国に必要なのは寄付ではなく「もの作り」――バングラデシュから始まったマザーハウスの挑戦
- 事件発生! そのとき検事は――検事の観察力、推理力、行動力をビジネスに生かす
- 映画の世界はノンフィクション?――ミッション・ポッシブルなサービス事例を一挙放映!
- 「ルンバ、トリダス、UCCミルクコーヒー」――ヒットの影にニーズの断捨離あり
- 業績向上の秘訣とは――ナレッジファシリテーションで暗黙知を見える化する
- ビジネスを成功に導くための「人の動かし方」
- 相手7、自分3の聞き上手になる──大切なのは「またあの人に逢いたい」と思わせること
- 禅的マネジメントの実践──こだわりを捨て、集中し、仕事とひとつになり、愚直に努力する
- 「んっんっんっんっ、おぬしも悪よのう」──悪代官でボイストレーニング
- 自分自身のキャリアを客観的に把握――キャリアを生かして問題にチャレンジ
- 意外に楽しい自分史づくり――平均寿命80歳以上の今セカンドライフを考える
- 女性の活躍は日本を救うか?――会社役員を目指す女性社員を育てよう!
- オオクワガタは男のロマン!――オオクワガタの飼育でサービスサイエンスを検証
- 常識も東西南北――アイデア外交官が42年の外交を振り返る
- いかにデータを読み、実務に落とし込むか――人を育て、データを見て、毎日改善する
- ビジネスモデル・キャンバスを学ぶ――2日間で事業イノベーションをデザイン
- ビジネスの新指標「B.Q.」――知的感性時代の革新型リーダーの開発
- 100時間悩んでも売上は上がらない――大切なのは"考える"こと!
- よいアイデアを素早く実行して素早く失敗――学習主義で沸き立つ会社になる
- マジンガーZの格納庫は72億円――独創的なアイデアで広報活動を活性化
- ビジネスに直結するプレゼンテーションのテクニックを学ぶ
- 声のスイッチ「横隔膜」を鍛えてビジネスボイスを手に入れる
- 記録により何を残すか――「継続するということ」を東大寺1300年の歴史に学ぶ
- ソーシャルメディアの活用で事前期待のマネジメントを実践
- これからの企業は21世紀型市場に適した持続可能な事業戦略を
- 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
- 検索キーワードから中国市場を探る
- あらゆるマーケティング活動はデータを取って分析・活用を――ネットイヤーグループ石黒CEO
- 人と本と旅から考える力を学び、自分のいる場から世界を変えていく ――ライフネット生命保険 出口社長