必要なときには上手に怒り、理不尽に怒らない――怒りはコントロールできる:ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)
「あのとき怒っておけばよかった」「あのとき怒らなければよかった」。いずれにせよ後悔するのが怒りである。しかし怒ること自体は悪いことではない。後悔しないためのアンガーマネジメント。
「ヤバい」を超えた瞬間に、ボキャブラリーがなくなってしまうので、キレるしかなくなる。人は言葉を変えることで行動を変えることができ、行動を変えることで結果を変えることができる。怒りをコントロールするためには、ボキャブラリーを増やすことが重要である。
私たちを怒らせるものの正体は?
私たちを怒らせるものの正体とは何なのだろうか。「だれか」なのか、「できごと」なのか、「なにか」なのか。安藤氏は、「すべて間違っている。私たちを怒らせるものは、"だれか"でも、"できごと"でも、"なにか"でもない。私たちを怒らせるものは、"べき」"である」と話す。
自分が信じている「べき」が裏切られたときに人は怒るのである。例えば、「仕事はこうすべき」「子どもはこうあるべき」「マナーは守るべき」という思いが裏切られたときに人は怒る。人が怒る原因は、外部的な要因と思われがちだが、実は内部的な要因であり、理由はすべて自分自身が持っている。
この「べき」には、3つの境界線がある。まず「自分と同じ価値観」、次に「少し違うが許容範囲」、最後に「自分と違い許容できない」である。例えば、「10時に集合」と言われた場合、9時50分に来るべきと考える人、9時55分に来るべきと考える人、10時でいいと考える人など"べきの境界線"はさまざまである。
境界線は少しずつ違うが、全員正しいことを言っている。そこで境界線をすこし広げれば、たいていのことにはイライラしなくなり、怒りはコントロールできる。ただ、怒らなければならないときは必ずあり、境界線を際限なく広げる必要はない。少しだけ許容範囲を広げる努力が必要だが、大事なのは決めた境界線を動かさないことだ。
「日によって、9時55分が許せる日と許せない日があってはいけない。信頼される怒り方が必要になる。9時55分まで許すと決めたら、どんなに機嫌が悪くても怒ってはいけない。逆にどんなに機嫌が良くても、10時1分に来たら怒らなければならない。これが信頼につながる。論外なのは、境界線を人によって変えることだ」(安藤氏)
アンガーマネジメントの3つの暗号
アンガーマネジメントは、「衝動のコントロール」「行動のコントロール」「思考のコントロール」の3つで構成されている。アンガーマネジメントができるようになると後悔しなくなり、上手に表現できるようになる。
怒りの強度が高い人は測ることが有効になる。衝動のコントロールでは、怒りを感じた時に6秒待つことを心がける。
諸説あるが、怒りの感情のピークは6秒と言われている。スポーツで乱闘になるのは、事件が起きてすぐであり、落ちついてからは乱闘にならない。また、イラッとしたら怒りの温度を付けておく。怒りの温度に合わせて対処方法を決めておけば怒りに上手に対処することができる。
安藤氏は、「怒りの感情は、力の強いところから弱いところに流れる。例えば、会社のイライラを家に持って帰り、親は子どもにあたり、子供は学校で弱い子をいじめ、いじめられた子は家に持ち帰って親にあたる。親は会社で同僚や部下にあたり、お店に行って店員にあたる。すべての人が自分の感情に責任が持てるようになれば、怒りの連鎖を断ち切ることができ、よりよい世界を実現できると信じている」と締めくくった。
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