海外勢に後れを取った日本のテクノロジー産業 起死回生のシナリオとはビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

少子高齢化による労働力減少や医療費の爆発的増加などいつからか、日本は課題先進国といわれるようになった。しかしこの課題を解決することで世界の課題解決を加速し、製造業復活の糸口も見えてくるのでは。

» 2011年12月01日 08時00分 公開
[萩平和巳,ITmedia]
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 スマホの販売でついに世界首位に躍り出たサムスン、偉大な指導者を失ってもなお圧倒的な存在感を保ち続けるアップル、世界最大のクラウドプロバイダーとして他社の追随を許さないグーグル。世界を見渡せばテクノロジー、IT産業における各社の戦いはまさに群雄割拠、その戦いは熾烈を極めるがエンドユーザーにとって魅力的なサービスも日々創り出されている。

 一方で日本勢はどうか。かつてジャパン・アズ・ナンバーワンといわれ、世界を席巻した時代の勢いは見る影もない。多くの日本製造業はハード売りで儲ける時代からサービスで儲ける時代へのシフトに苦慮し、新たなビジネスモデルの構築に手間取っている。

「日本製造業の戦略」

 この様な状況に陥った日本企業が継続的な成長のために必ず乗り越えなければならない課題がいくつかある。

 (1)顧客価値を磨き込めない

 機能性や技術面のアドバンテージを武器に過去数十年も戦ってきた日本企業。技術力は多くの分野でずば抜けているが、エンドユーザーが何を求めているのかを商品開発に落し込むことについては、海外勢、特に韓国企業の後塵を拝している。顧客視点を徹底的に磨き上げ、その半歩先を行くサービス・プロダクトを開発するために、日本企業にフィットする顧客経験の磨き上げを担う組織や機能の充実化が必要である。

 (2)生態系を築けない

 iPhoneやiPod touch、iPadなど、アップルの製品は優れたデザイン性と自然なユーザーインターフェスでユーザーの裾野を拡大した。さらに、多くの開発者が単一プラットフォーム上で様々なアプリケーションを提供するApp Store、これがユーザー数の爆発的な増加と売上げの拡大に大きく貢献した事もまた事実である。多くの日本企業では、例えば自動車業界や金融業界内など、特定業界における垂直統合型の生態系構築は比較的得意としてきた分野である一方で、業界横断でのアライアンス構築やプラットフォームの形成は目立った実績はない。たとえ大企業であっても、すべてのサービスを自前で提供するのは限界があり、業界を横断する他社との協業により生態系を築かねば、今後生き残っていくことはできない。

 (3)世界展開できない

 意に反してガラパゴス化を突き進めてしまった日本メーカーの携帯電話。一方で海外シェアを猛烈な勢いで高めていくサムスンやLGなどの韓国勢。両者の一番の違いは「グローカライズへの取り組み」にある。「日本の普及品=新興国の高級品」という誤った理解のもと、眼前のユーザーを取り込むことばかりに躍起になってきた日本企業と、世界各国にデザインセンターを設け、現地の文化や歴史的背景も把握した上でそれを製品開発に反映しようとする韓国企業。彼らと対等に戦うためには模倣では無意味。「日本流グローカライズ手法」の確立が急務である。

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