ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
「無理の構造」――理不尽なのは世の中ではなくわれわれの思考である(1/2 ページ)
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
「対称性の錯覚」とは?
はじめに、理不尽の元凶と考えられる「対称性の錯覚」について簡単に紹介します。対称性の錯覚というのは、本来対称でないものを対称だと錯覚しているということです。では対称とは何か?ここでの意味を簡単に定義すると「二者の関係性が同等である」ことです。つまり、A→BとB→Aが同じであるということです。
例えば東京から大阪に行くのと大阪から東京に行くのとでは時間も交通費もほぼ同じと言ってよいでしょう。ところがクリスマスから元日までの日数と元日からクリスマスまでの日数は大きく違います。これがここで定義する「非対称」であるということです。
ところが仮に、対称で当然だと思っていた東京~大阪の往復が実は非対称で、帰りに行きの3倍の値段をふっかけられたら「そんな馬鹿な話はない」と憤慨することでしょう。これが「対称性の錯覚」ということです。実際の東京~大阪間ではこのようなことは起こりませんが、実は「クリスマスと元日」が対称だと錯覚していて「いつまでたってもなかなかクリスマスが来ない」と嘆いている人が多いということです。
「自分と他人」における対称性の錯覚
分かりやすく、しかもさまざまな理不尽さの根元になっているのが、自分と他人との非対称性です。つまり、私たちは「自分が他人に対して考えていること」は「他人が自分に対して考えていること」と同じであるという錯覚をしています。もちろんこのことに全く自覚がない人はいないと思いますが、普通に考えているよりも何(十)倍もその傾向があるという自覚がないのです。つまり自分→他人と他人→自分というのは全く違う「クリスマスと元日の関係」だということです。
例えば、以下のことは改めて言われてみれば「分かっているよ」という話かもしれませんが、日常生活ではこれを忘れてしまっている(あるいはその意識が弱い)人が多いように見受けられます。
- 借りた金(恩)はすぐに忘れるが、貸した金(恩)はいつまでも覚えている
- 一番他人から聞きたくないのは「自慢と愚痴」だが、ついつい他人に言いたくなるのはまさにその2つである
- 他人の成功は「運がよかったから」と思うが、自分の成功は「実力だ」と思う。失敗は全く逆で他人の失敗は「実力がないからだ」と思い、自分の失敗は「運が悪かった」と思う
- ある分野に詳しくなってくるとついつい他人にアドバイスしたくなるが、一番されたくないのが「中途半端な人からのアドバイス」である
- 他人のことは安易に一般化する(「アメリカ人は……」「芸能人は……」)くせに、「自分は特殊」だから一般化されると不愉快になって「○○とは違うよ」と違いを強調したくなる……
この他この手の話はいくらでも出てきます。これは下図のような私たちの錯覚から来ています。
図の左側が私たちが無意識に前提としている自分と他人の関係が対称であるという錯覚です。対して右側が実際の姿で、「自分」というのはあたかも世界の中心に存在する特別な存在で、他人はすべてその外側に存在する「遠くのもの」という自己中心的な視点です。
問題は、それが悪いのではなく、それを「自覚していない」ことなのです。また先ほど挙げた事象すべてに当てはまるのが「他人からはよく見えるが、自分ではよく見えない」ことです。皮肉にもこの傾向そのものも自分と他人の非対称性を如実に表しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
2
「人間洗濯機」が高齢者施設に 福祉の現場に万博技術導入 人手不足解消や産業成長に期待
-
3
第52回:「管理」する時代は終わった──AI時代、マネジャーに残された本当の仕事とは?
-
4
どの区立中からも通えるオンライン将棋部発足 休日はリアル、プロ級も指導 東京都大田区
-
5
森ビルが挑む、DXを通じた「ヒルズライフ」の充実とコア領域の内製化
-
6
明和電機が愛車で全国47都道府県を駆け巡る、「UMEツアー2026」が開催中
-
7
高島屋・村田善郎社長 挑戦続けるアバンギャルドな百貨店 ベトナムや新型SCに重点投資 My Vision
-
8
「その100時間は、何も生み出していない」――認知科学者・堀田創氏が斬るリーダーの"見えない疲れ"
-
9
ITmedia エグゼクティブ勉強会スケジュール
-
10
「みどりの窓口」もAIに…音声で対話 JR東日本が実証機を公開、大宮・立川で実験へ
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー