視点
モビリティを構成する5つのエコシステム(1/2 ページ)
広がるモビリティの機能とプレイヤー
モビリティが提供する機能の幅が広がっている。“移動”という従来よりの機能に加え、コネクテッドサービスで多様なサービスをモビリティ内で提供し、リラックスできる空間を作り上げ、キッチンカーも出現し、災害時には電力の供給源になったりしている。そして、新たなプレイヤーがモビリティ作りに進出を始めている。ArrivalのようなスケートボードPF提供プレイヤー、Navyaのような自動運転モビリティプレイヤー、Apple Carのような異業種からの参入。このような話題はメディアを通じて連日提供されている。
これらの動きを、ビジネスのエコシステムとして捉えてみる。従来はOEMを頂点にした開発・製造・販売・アフターという1つのバリューチェーンがあった。機能の幅の拡大と多様なプレイヤーの参入により、単一のビジネスとして語ることが難しくなってきた。機能の幅が広がるモビリティを主語にすると、「5つのエコシステムでモビリティが構成される」、と捉えてはどうか。ただし、個々のエコシステムを主語に考えると、モビリティの領域にとどまらないビジネスを成立させる生態系が作り上げられており、モビリティは各エコシステムの中の一部に位置付けられる、ということになるだろう。
5つのエコシステム(図A参照)
1、走る・曲がる・止まるという基本機能を担うシャシーモジュール
“移動”というモビリティがモビリティたる役割を果たす機能であり、足回り・ステアリング・プラットフォーム・モーター(エンジン)などが含まれる。このモジュールでは、高速で安定的に安全に走るメカを組み上げる能力が必要であり、一朝一夕に得られるものではないと考えられる。
2、エネルギーを蓄え供給するエネルギーモジュール
電動化の進展と共に存在感を増す電池のライフサイクル全体を1つのエコシステムとして捉える。そこには、電池の製造、一次利用、中古としての二次利用、リサイクル、BMS、需給マッチングなどが含まれる。モビリティ向けに一次利用された電池は、定置型電池として二次利用が期待される。その背景には再生可能エネルギーなどの普及により電力供給の変動幅が大きくなり、その変動を吸収する役割が求められるからである。このエコシステムの成立には、電池の標準化や、たくさんの電池の需要と供給が1つのプラットフォーム上で共有される仕組みが作られることが必要となる。
3、より安全を創り出す運転支援・自動運転モジュール
自動運転の実現に必要な、制御システムやAI、そのための情報蓄積を1つのエコシステムとして捉える。車載センサーや道路インフラからのV2X含めた認知、判断、操作、大量の情報蓄積を通じた制御(ソフトウェア)の進化、各モビリティの制御ソフトウェアのアップデートまでを含む。進化は日進月歩であり、制御を進化させるために早く大量の情報を集めることがポイントであり、同時に街を走っているモビリティのアップデートができることが必要となる。ただし、必要十分なレベルまで進化した時、このモジュールは汎用的なものになる。
Copyright (c) Roland Berger. All rights reserved.
視点
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
2
「人間洗濯機」が高齢者施設に 福祉の現場に万博技術導入 人手不足解消や産業成長に期待
-
3
高島屋・村田善郎社長 挑戦続けるアバンギャルドな百貨店 ベトナムや新型SCに重点投資 My Vision
-
4
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
-
5
ITmedia エグゼクティブ勉強会スケジュール
-
6
森ビルが挑む、DXを通じた「ヒルズライフ」の充実とコア領域の内製化
-
7
どの区立中からも通えるオンライン将棋部発足 休日はリアル、プロ級も指導 東京都大田区
-
8
第52回:「管理」する時代は終わった──AI時代、マネジャーに残された本当の仕事とは?
-
9
本田技研工業のDXはボトムアップとトップダウンで“Hondaらしく推進”
-
10
公共交通インフラの使命を軸に、事業継続への攻めと守りを大胆に実行する - JAL 鈴木氏
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー