日本丸再浮上のために:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
大胆な方針と強烈なリーダーシップが求められる今、政治の世界に経済界の人材投入が必要。国家運営に会社運営のセンスを。
これは順位とシェアが相対的に下がるというだけの問題ではなく、GDP絶対額でも2050年には現在の5.76兆ドルから4.65兆ドルに減少するという予測もあるのです。
経済成長が豊かさのすべてではありませんし、国民幸福指数が再度検討されていますが、GDPも1つの鍵になるのは事実です。(わたしはGDP絶対額よりも、1人当たり増減額と生活コスト、それに増減速度が幸福指数を決める構成要素になると考えています)
ところが今の政治家のバックボーンは、二世、官僚、労組、タレントといった方が異常に多いです。どの職種も素晴らしく、それ自体を非難する気は毛頭ありませんが、人材構成バランスが非常に悪いのです。議員の親族が全体の20%、官僚が18%、労組が7%、タレント、マスコミが12%、この4職種で計57%。少し異常だと思いませんか? それに比べて経営者やビジネスマンが本当に少ない。
4番バッターばかりをそろえてチームとして全く機能せず弱体化した一昔前の巨人じゃないですが、やはり多様な人材をそろえ、適材適所に配置するから強い組織になるわけです。ましてや今必要なスキルは、停滞する日本丸を再浮上させるための成長戦略を含めた経営スキルが一番求められるのです。
今の人材構成が続いている限り構造改革にも限界があるでしょう。「民間と協力しながら……」ではダメなのです。民間人が当事者になり、全身全霊で打ち込まないと大きな成果は望めません。この人材が大量に流れ込まないと日本再生はありえないのです。
日本再生のKFS(キー・ファクター・フォー・サクセス)は国会議員722人中、約30%=210人くらいを一刻も早く経営者出身にすることです。そうしたら日本はきっと生まれ変わるでしょう。次の「この国の形」が策定できるはずです。
ところが、それを阻む多くの障害、慣習、妨害工作があります。わたしはそれを「見える化」し、整地し、一部の人だけが生息する業界から誰でも平等にエントリーできる業界に変えたいと思っています。そう、リクルートが学生に就職について情報選択の自由を提供したように。長い長い戦いが始まりました。
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著者プロフィール:樫野孝人(かしのたかひと)
1963年生まれ。神戸大学経済学部卒業。リクルート入社。人事部門を経て、キャンパスマガジン編集長、アートスペース館長、学生総研所長を歴任。1993年、福岡ドームのコンサルティングチームに参加し、マイケルジャクソンやマドンナなどのコンサートやシルクドソレイユ福岡公演などをプロデュース。その後、メディアファクトリーにて映画制作事業を立上げ、バトルロワイヤルなどの製作に関わる。2000年IMJの代表取締役社長に就任し、翌2001年ヘラクレス市場に上場。連結16社、売上高186億円、従業員数800名の国内最大手のWEBサイト制作企業に成長させる。2009年IMJを退任し、神戸市長選挙に立候補。156178票を獲得するも戦後60年の神戸市長選史上、最も僅差の7800票差で惜敗。現在、「NANA」「ゼロの焦点」「ダーリンは外国人」などを制作したIMJエンタテインメント取締役会長、OKwave(セントレックス上場企業)、コンテンツ、ネットオンの社外取締役の他、カナリア書房のアドバイザリーボードも務める。神戸リメイクプロジェクト代表。神戸ひとマガジン「裕ちゃんを探せ!」編集長。
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