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階層構造からの脱却海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(4/4 ページ)

時代遅れの階層式モデルは効率性を重視し、格子構造のモデルは敏しょう性と柔軟性を提供する。大きく変化しようとしているビジネスの世界で格子構造を取り入れて成功する方法とは。

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格子状の仕事の仕方

 格子構造を持つ組織のリーダーは、自分の会社を9時から5時まで働く職場から動的な職場に変え、いつ、どこで、どうやって仕事を行うかに関する階層的な考え方を塗り替えようとしています。そのようなリーダーは、部下が毎日決まった時間に出勤しているかどうかではなく、どのように自分の役割をまっとうしているかを見ています。

 部門を超えたプロジェクト、マトリクス組織、年中無休のグローバル事業、(業務の種類ではなく)ノウハウを中心に構築された仕事などを取り入れることで、従業員の多くは場所や時間を選ばずに仕事をすることができます。このように従業員に幅広い選択肢を与えている企業では、パフォーマンスや生産力が向上し、従業員がより熱心に仕事をしてくれます。

 米国の大手地方地域電話会社であるフロンティア・コミュニケーションズは、労働組合との交渉の一部として、リモートワーク・プログラム4を始めました。今、同電話会社の電話代行業の30%がリモートオフィスで行われており、その多くが自宅で行われています。また、コールセンターで業務を行う電話代行業者よりも25%生産性が高く、従業員の定着率も2倍高くなっています。

 勤務を場所や時間ではなく、自らのタスクをどこでいつまでに成し遂げるのかを考えていくのが格子状の仕事のやり方です。そうすることでそれぞれがベストの環境で仕事をしていくことができると言えるでしょう

格子状の参加方法

 格子構造を持つ組織のリーダーは、静的でトップダウン形式のコミュニケーションではなく、階層や立場に関係なく誰からのアイディアも求め、歓迎し、期待します。また、透明性の文化を根付かせ、素晴らしい革新を積極的に取り入れます。透明性は、多様性の高いグループの中で信頼関係を築くために欠かすことはできません。

 格子構造は、地理的、階層的、そして機能的な目に見えない境界線にしみ込んでいきます。あらゆる状況や内容から優れたアイディアが生まれるということに気がついた企業は、会社にとって有益な人との繋がり方や良質な情報収集術を獲得し、組織内環境においても良き影響を誘起するという恩恵を授かることができます。

 例えば、AT&T社の最高技術責任者が、知識と創造力を活用するための非階層的取り組みを求めている時、同社は、ソーシャルメディア戦略を利用した、革新への大量参加の取り組みを取り入れました。この取り組みの中、同社は、誰でもアイディアを投稿し、他の人のアイディアに協力し、励ましの言葉やフィードバックを提供し、アイディアの市場性を評価し、アイディアの設計や費用対効果に異議を申し立てることのできるウェブサイトを立ち上げました。

 従業員なら誰でも投稿されたアイディアにコメントを残したり投票したりできるもので、貢献した人は評判ポイントを稼ぐことができます。このウェブサイトは立ち上げてから9カ月で登録者数が24000人を超え、アイディアの数は2000件に達し、訪問者数も100万人を記録しました。このサイトは今も成長し続けています。

 格子状のリーダーの仕事は指示、命令することではありません。仕事に携わる人物の意見を取りまとめることと言えます。そういう意味では、組織のリーダーのプロが加わることが必要と言えます。

著者紹介

キャスリーン・ベンコは、デロイトLLP社の副会長です。著書に「Mass Career Customization: Aligning the Workplace with Today's Nontraditional Workforce」、「Connecting the Dots: Aligning Projects and Objectives in Unpredictable Times」があります。モリー・アンダーソンは、デロイトサービスLP社のタレント・ディレクターです。革新的人材戦略を専門としています。


プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長

鬼塚俊宏氏

経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。


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