理念、価値観を共有する
スポーツでは「勝つ」ことのみを称賛する傾向があるが、ビジネスの現場でも同様である。しかし何度も言うように、理念、価値感がなければ、勝ち続けることはできない。それを大切にすべきであり、それが先であるはず。
「勝つ」ことのみを優先していると、なぜ自分のやっていることが大切なのかを見失う。数回まぐれでホームランを打ち、何回かは勝つことができても、長続きはしない。そして、結局勝てない集団になる。
組織が人を育て、育った人が組織を育てるのである。つまり、組織と人は育て合うのである。育て合うためには、理念、価値観が欠かせない。
組織の目的が理念だとわたしは考えている。それが人格を形成し、組織の格を形成する。理念に基づいて価値観がつくられ、行動へと結びつく。組織の目標がビジョンであり、それは基本的に「勝つ」ことを目標とする。勝つ目標のために、能力を身につけさせ、それにフォーカスする。しかしこちらばかりが強調されると、組織はおかしなことになる。目標の前に目的があり、目的が共有できていなければいけない。それがないと、指導者になっても人を指導できない。部下を持っても人を育てられない。
実行することから始めてみる
柔道と同じようにビジネスにも礼儀がある。大きな会社としての理念もあれば、もっと小さな部署単位での理念もあるだろう。それを改めて問い直してみてはいかがだろうか。
理念が人を育て、リーダーが数多くのリーダーをつくるのである。理念が浸透し、目的が共有できると、みんなが同じ方向を見るようになる。そして、その目的を推進し、実行し、結果として業績にも跳ね返ってくる。
理念を浸透させるには、リーダー自らが理念をよく理解し、日々口にして、部下と話し合い、語らい、それに沿った行動を実践することである。それによって、周りもその影響を受ける。
リーダー自らが理念を見直し、しっかりと伝え、実践する。それで自分が見える風景が変わるし、組織も変わっていく。人が組織を作り、組織が人をつくる。ぜひ実行から始めてみてほしい。
著者プロフィール
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。「ビジネスマンの悩み相談室」は電子書籍でも配信中。「自分は頑張っていると主張する部下に悩む上司」「ぬるい部下に悩む上司」「若い人には横から目線で共感する」(各250円)
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