「あなたに会社をおまかせしたい」と言われる人は、何が違うのか?:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
トップリーダーをはじめ、リーダーと呼ばれる人たちはどのような考え方や行動をとっているのか。
引き抜かれる人は、「実績が外から見える」人
(2)の他社のトップとして引き抜かれる道ですが、これには、他社から見て「あの人がトップになることで、うちの会社にメリットがある」と思わせる必要があります。実績や力が「外から見える」必要があるのです。したがって、(1)よりも、より外から成果が分かりやすいこと、また、普遍的な成果を求められます。
これら(1)、(2)の必要条件を端的にいえば、「社長力」ということになります。自分の手元のことだけを見て働き続ける一社員では、どちらの道も歩くことはできません。トップリーダーにふさわしい人というのは、すでにトップリーダーであるかのように、常に物事を見据えて行動することができる人なのです。
それでは、(3)はどうでしょうか。2000年前後から起業ブームが起こり、次々にベンチャー企業が立ち上がってきています。しかし、起業した会社を継続し、大きくするということについてはどうでしょうか。本当に難しいのは、ここなのです。このハードルを越えられずにつぶれていく会社というのも、とても多いのが現状です。
その理由のひとつには、ビジネスの永続性というものがまったく無視された組織であったということが挙げられるでしょう。時流に乗って1つ商品が当たったとしても、次の手が打てない。それだと、当然ながら会社の継続は危ぶまれます。
さらに、自分たちの手元でその事業をきちんと回せていないという会社も多く見かけます。行き当たりばったりの対応で、仕事がどんどん後手後手にまわり、社員がみるみる疲弊し、1人抜け、2人抜け、さらに事業が回せなくなっていく。こうした未熟な組織では、長続きしないのも当然です。
ここでも必要なのは、「社長力」です。事業を継続させるためにどんな戦略が必要なのか。事業をきちんと回すためにはどのような組織作りが必要なのか。こうした社長力が備わった状態で起業をすれば、その事業は継続・拡大へと進むことができるでしょう。
実は、今、トップリーダーを目指しやすい時代に入っています。
20世紀までは、企業の中で社長にたどりつくには、係長、課長、部長、役員と1つひとつ丁寧に出世の階段を上り、順送りで社長の座を射止めるということが必須の流れでした。ですが、今では企業刷新のために、順送り以外の道で抜擢されるケースが非常に増えてきています。また、多くの中堅中小企業では、社長が60〜80代となり引退の時期に差し掛かっています。
このチャンスを生かし、皆さまには、ぜひ「社長力」を身につけて、トップリーダーを目指してほしいと思います。その具体的な身につけ方について、「トップリーダーの基礎力」「コミュニケーション術」「チームの動かし方」「戦略力」「キャリア力」の5章に分けけて紹介しました。機会がありましたら、手に取ってご覧いただければ幸いです。
「社長力」を身につけトップリーダーになった皆さまと近い将来、会えることを楽しみにしています。
著者プロフィール:井上和幸
1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人事部門、広報室、新規事業立ち上げを経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現・リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。
2010年2月に株式会社 経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。自ら8000名超の経営者・経営幹部と対面してきた実体験に基づき、実例・実践例から導き出された公式を、論理的にわりやすく伝えながら、クライアントである企業・個人の個々の状況を的確に捉えた、スピーディなコンサルティング提供力に定評がある。著書に『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない係長・主任のルール』(明日香出版社)、など。メディア出演多数。
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