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今の会社に残るか? 移るか? 独立か?――70歳まで働く「社会人人生50年時代」到来のいま、30代以降の転職を成功させる方法ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

ステージをクリアしなければさらなる成長は見込めない。中途半端に課題から逃げる転職を繰り返しても仕事の壁はなくならない。会社に残るか、転職かそのポイントは。

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会社に残るか、転職か?

 悩み多き中堅世代・シニア世代。現状に不満がある人は、いまの会社は見限って転職するべきだと考えるかもしれませんが、それは大いなる間違いです。現職で仕事を満足にやり切っていない人が転職すると、転職先でもまた同じ課題にぶち当たります。

 人はステージをクリアしなければ、さらなる成長は見込めないのです。中途半端に課題から逃げる転職を繰り返している人は、いく先々で同じ仕事の壁、悩みに突き当たります。これに気づかず、同じ課題に直面し続けて仕事人生を終える人が少なくないのです。

 「上司や同僚との人間関係に悩み、転職したい……」

 では、新たな転職先では、上司や同僚との人間関係の課題は起こらないのでしょうか。

 「負荷の高過ぎる過剰なリーダー業務に耐え切れない……」

 では、新天地ではそうした負荷の高いリーダー業務、責任者業務を与えられなくてもいいのでしょうか。新たな会社にいけば、リーダー業務が今の会社よりも簡単にできるような仕組みがあるとも思えません。

 もちろんこれらについて、今いる会社は「ブラック」で、あまりにひどいパワハラ人材の巣窟かもしれませんし、業務統制が全くなっていない崩壊企業なのかもしれません。それなら前項のことは、転職で場を変えることで大きく改善されるでしょう。

 しかし、たとえ「いい会社」「人気企業」「働きがいランキング上位」の企業だとしても、職場内の環境がどんな人にとってもバラ色、パラダイスということはありえません。ある意味、企業組織というものは、多かれ少なかれどのような企業ステージにあっても課題やテーマを抱えて進んでいる生き物のようなものです。

 そんな中で、同じ職場であっても、やりがいを持って業務に励む人と、嫌々仕事をしている人が存在します。その差は、仕事上の「軸・テーマの有無」と「自責・他責」「やり切る力の有無」です。

 「軸・テーマなし」「他責」「やり切る力なし」の人が踏み出す転職は、ネガティブ転職で す。これはやめておいたほうがよいでしょう。

 現職の中で頑張り切ることで「軸・テーマの発見」と「自責への転換」「やり切った実績と自信の獲得」を果たすのが先決で、転職はその次です。

 では、転職すべき人とは、どんな人なのか。

 それは、「今の職場でやれることを、本当にやり切った人」です。「軸・テーマ有」「自責」「やり切る力あり」の人が踏み出すポジティブ転職は、次のようなものになります。

 今の仕事でのチャレンジは十分にやり切った。現職での役割は全うし切った自信がある。これ以上のチャレンジが、今の職場・会社では望めない。やどかりが小さな殻を脱ぎ捨てて、次の大きな殻を求めて移り住む――。そんな転職ステージのときに、 30代以降の人は次のステップへと進めるのです。

 転職はステージアップのための有力手段であり、自身の仕事上のテーマ・軸を極め、生涯キャリアを最大化するための非常に有効な手段です。逆に言えば、そのため以外に転職するという手段を使うことは、私はお勧めしません。それよりも、今の職場で逃げずに徹底的にやり切ることのほうが、今後の長い仕事人生において重要なことなのです。

 あなたには、ポジティブな転職をしてほしいと思います。


 35歳以降は転職ができない「35歳転職限界説」という話がありますが、本書を読ん でもらえれば心配する必要はありません。しっかり準備すれば、30代以降の転職はうまくいきます。本書を通じて、あなたが「社会人人生50年時代」を、やりがいを持って働く手立てを獲得し、これから10年、20年先の日本社会を明るいものとしてもらう一助になればと願っています。

著者プロフィール:井上和幸

1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人事部門、広報室、新規事業立ち上げを経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現・リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。

2010年2月に株式会社 経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。自ら8000名超の経営者・経営幹部と対面してきた実体験に基づき、実例・実践例から導き出された公式を、論理的にわりやすく伝えながら、クライアントである企業・個人の個々の状況を的確に捉えた、スピーディなコンサルティング提供力に定評がある。著書に『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない 係長・主任のルール』(明日香出版社)など。メディア出演多数。


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