鷹は、自らの爪・羽根・くちばしを折ることで、生まれ変わる:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
鷹は寿命を伸ばすために自らを傷つけて再生するという。人間の50代もひとつの転換期。50代できちんとするべきことをしておけば、60代、70代の幸福度は上がっていく。50代でしなければならないこととは?
脳は、50代で人生最強になる
50代で、「もう昔のように記憶力がない」「体力が続かない」と感じると、脳のキャパシティーが下り坂にあるだけでなく、一気に下降線の角度がきつくなっているような気がしてしまいます。
これは錯覚です。
人間の脳のピークは、人生の中で2回あります。
1つ目のピークは28歳です。
2つ目のピークは55歳です。
28歳までに脳のキャパはどんどん広がります。やりたい・やりたくないにかかわらず、いろいろな仕事をやらざるを得ない20代があって、いったん28歳で脳のキャパがピークを迎えたあと、下り坂になります。
30代、40代は、脳のキャパ的には20代よりも下がっている時代です。これが、なんとなくこのまま下り坂になっていくのではないかという、よくない予感になってしまうのです。
最新の脳科学の研究で分かってきたことは、55歳のときにもう1回ピークを迎えることです。
脳のプログラムは人間の人生の中でよくできています。20代のピークまで、その人ができること、やりたいことを大量にさせます。たとえば、10のことができるようにします。ここでやるのは、「やりたいこと」というよりは「やらなければならないこと」または「できること」です。イコール「好きなこと」ではありません。
ここがなかなか人生のむずかしいところです。20代で好きなことをやろうとすると、その人は失敗します。フリーランスで仕事をしようとしてしくじる人は、好きなことを仕事に選んで、好きなことだけどやれないことに手を出してしまいます。
成功するのは、やれることの中で好きなことは何かを選べる人です。20代のうちに10のことをやっても、30代、40代はどうしても体がしんどくなるので減らさざるを得ません。20代のキャパが10とすると、30代、40代は2です。必然的にできる10個の中から8個を断念せざるを得ないということです。
50代になると、もう一度キャパ10まで戻ります。絞り込んだ2つのことでキャパ10のことができるので、高いパフォーマンスで物事を達成します。50代のキャパが20代のキャパよりもっとすごいことを実現してしまうのです。
20代はよけいなことをたくさんやる必要があります。そのために、脳はよくできています。20代のままのキャパでいくと、本来その人がしたくないことまでやり続けてしまう可能性があります。
そうならないように、30代、40代は脳のキャパを1回落としてしんどくさせてくれます。「30代、40代は迷う時代」と言いますが、迷うのが正解です。「自分はいったい何をすればいいのか」とクヨクヨ考えて断念する時代が30代、40代です。
50代は、絞り込んだものに20代で蓄えたエネルギーをボンとぶつけることができるキャパを脳がもう一度与えてくれます。30代、40代でふるいにかけたものも、もう一度頑張れば脳はこたえてくれるのです。
その後、55歳をピークに下ることもありません。脳のキャパに、下り坂はないのです。
著者プロフィール:中谷彰宏
作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『50代でしなければならない55のこと』(ダイヤモンド社)『服を変えると、人生が変わる。』(秀和システム)など、968冊を超す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- あなたに合ったリーダーシップが見つかる! 40のリーダーシップと4つのマネジメントスタイル
- 99%の人がやせると話題のライザップ、その快進撃の秘密とは?
- 今の会社に残るか? 移るか? 独立か?――70歳まで働く「社会人人生50年時代」到来のいま、30代以降の転職を成功させる方法
- 挨拶ができる人は、会話ができる
- 「社長の覚悟」守るべきは社員の自尊心
- 優秀なリーダーほど、コンサルタントを上手に使っている! ――自社、自部門の業績を向上させる、本当のコンサルティング活用策
- 「やわらかい頭の作り方」――自ら柔軟に変化していくためのヒント
- 頑張らなくても、すごい成果がついてくる! ――「いいひとマネジメント」から「ずるいマネジメント」への転換のススメ
- 最速で成果を出すために、「やることを絞る」人になる
- 今日も208回謝った! でもそれは、チャレンジの証
- 方針浸透のカギを握るマネジメント職――真意を伝えるために「チーム」の力を生かす
- なぜ、あのリーダーには、自然と人がついてくるのか?――人を引きつける「おもしろさ」の流儀
- 怒ったって良いじゃないか――リーダーは怒りをエネルギーに転じよ
- 僕たちは「会社」でどこまでできるのか?――モーニングピッチ「創業者」塩見哲志氏は、いかにしてイントレプレナーになったか?
- 器の大きい人は、メールラリーを、相手のメールで終わらせる度量がある
- 権威を後ろ盾とした思考停止は、一刻も早く改めたほうがいい
- 「“具体的”であることだけが本当に良いのか?」――「具体と抽象の往復」で考える
- リーダーは「孤独」を楽しめ――死ぬ気で働くリーダーにだけ人はついてくる
- 学歴や能力以上に大切なモノがある。それは、「好かれる」こと
- 銀座のママが教える、ビジネスパーソンが持つべき「心意気」とは?
- サイバーエージェント出身起業家が教える「ズバ抜けた結果」を生むメンバーの育て方
- 90日プランで見える結果をすぐに出す「初速思考」
- 吉田美和の歌詩で心を耕し、仕事への活力を養う
- 日本にこそ「クラウドファンディング」。その魅力とは?
- メンタルヘルスに強いリーダーになる! 簡単な方法
- 一流の人は真正面からうけとめない。「正攻法」を放棄するという「成功法」
- 物事の本質を見極めれば、グローバルに成功できる
- 葛藤を引き受ける覚悟がリーダーを成長させる
- 「仕事ができる人」より、「品のある人」が、チャンスをつかむ
- 「仕事づくり」でもっとも大切な考え方と行動
- 説得せずに説得する
- 「第8の習慣」が提示する、真のリーダーシップとは
- ダメ会議をやめたら会社が生まれ変わる!
- 逆境を一瞬で打破した人々が体得した「努力」×「閃き」の法則
- うまくいく人とうまくいかない人の違いとは?
- ビジネスに効く最強の「読書」
- 行動科学で組織の成果を上げる
- コーヒー業界から最新ビジネス戦略が分かる――「戦略は“1杯のコーヒー”から学べ」
- 「社畜脱走計画」のために知っておかなければならないこと
- 仕事に効く教養としての世界史
- 上司の機能を使い倒せる社員こそが、会社を成長させる
- 10年後も見た目が変わらない人
- 「本物の勉強法」──「試験」「仕事」に、一生使える勉強法
- 成功者になれる人にしか理解できない!? プラスの現実逃避
- チームシップが企業に与える影響とは
- 「三菱商事の鈴木です」と言う自己紹介は世界標準ではありません!──グローバルに活躍する技術
- 稼ぐ人はなぜ、1円玉を拾うのか?
- できる経営者は会社を作るとき明確な理由を持っている!
- 「数字、ファクト、ロジック」で物事はシンプルに決められる
- 世界をまとめて読む
- だから会議は意見が出てこない! 上司が言ってはいけない最大のNGワード