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うまくいく人がしないことビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

一流になるためには、一流がしていることをして、していないことをしなければいい。では何をしていないのだろうか。

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一流は、正論を言わない

 一流は、違う見方ができる。

 一流は、当たり前のことは、あえて言いません。そんなことは、言わなくても分かっているのです。

 二流は、声を大にして当たり前のことを言います。今はインターネットのおかげで、みんながブログを書くようになりました。本になって買いたくなるブログは、当たり前のことを書いていないブログです。当たり前のことを書いている本は、誰も読まないのです。

 情報化社会になればなるほど、当たり前の意見が増えていきます。情報化社会は、みんながいろんなことを言うかというと、逆です。ネット上に流れる意見は、当たり前の正論が多いのです。正論がつまらないのは、「自分は正しい。あなたは間違っている」ということで終わるからです。

 「私は間違っている。これは偏った意見です」と言えるのが、一流です。議論に勝とうとするのが二流です。

 一流は、二流とはレベルが違うので、そもそも議論にならないことが分かっているのです。

 私の講演会でも、質疑応答の時に「私は先生が間違っていると思います」と言う人がいます。その人に対して、私は「間違っています」と言います。その人は、何か議論をしたいのです。

 私は偏った1つの見方を話しているだけです。「これが正しい」とは一度も言っていません。世の中には、ありきたりな正しい意見が多いのです。

 そんな中で楽しいのは、偏った意見です。一流は人と違う見方を優先するので、正論は言わないのです。正論が本にならないのは、みんなと同じことを言ってもつまらないからです。

 マツコ・デラックスさんが面白いのは、辛口だからではありません。みんなと違う意見を言うから、面白いのです。

一流は、「暑い」「寒い」を言わない。

 一流は、暑苦しさ、寒さを感じさせない。

 私は子どもの時に、「暑い・寒い・痛い・しんどいは言わないこと」と母親に言われていました。「暑い」「寒い」を言うと、母親に叱られます。

 そのおかげで、私は「暑い」「寒い」を言わなくなりました。

 夏場に「よくネクタイしてスーツを着ていますね。暑くないですか」と言われますが、私はまったく暑くありません。「暑い」「寒い」を言わないでいると、「暑い」「寒い」の感覚がなくなるのです。

 クラスのお金持の親友の男の子は、寒い日も半ズボンを履いていました。お金持の家の子どもは半ズボンを履いていたのです。ポケットは、手を入れないように縫いつけられていました。

 私は彼を見て、「僕も半ズボンで過ごそう」と思いました。半ズボンを履いて寒がっていたのでは、お金持や紳士に見えないので、「寒い」も言わなくなりました。

 歯医者さんに行った時は、「痛くなかったですか」と言われて、「思ったほど痛くなかったです」と答えました。起き上がると、私の背中は汗でびっしょりになっていました。それを見た歯医者さんに「ちょっとびっくりしましたね」と言われましたが、自分の中では痛さを感じていませんでした。

 これは、「暑い・寒い・痛い・しんどいを言わない。暑い、暑いと言うから暑いんやで」と母親に言われたことが、私の体の中にしみついていたからです。

「暑い」と言ったからといって、別に温度が上がるわけではありません。一方で、温度が下がるわけでもありません。ただし、雰囲気的に暑苦しさが広がります。

 誰かが扇子をバタバタとあおぎ始めた瞬間に、その場に「暑いんだな」という空気が漂うのです。一流の人は、まず扇子を半開きにします。あおぎ方はレガートで、バサバサという音を立てません。

 二流の人は、扇子を破れるぐらい目いっぱい開いて、速い回転数でバタバタとあおぎます。もともとそれほど暑くない場でも、それによって暑さを感じるようになってしまいます。

 暑苦しさ・寒さ・痛さ・しんどさを感じさせないのが、一流なのです。暑い季節、寒い季節は、チャンスですね。

著者プロフィール:中谷彰宏

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。

【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。

著作は、『一流の人は、○○しない。』(秀和システム)など、1,000冊を超す。


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