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重要な経営課題を デジタルで解決するために――ビジネスアナリスト(BA)ならデジタルを活用した解決案を提案できる(1/2 ページ)

 2000年代に入り、日本の生産性(1人当たりGDP)の成長が止まった。時を同じくして、ITがインターネットと共に大きく進化し、それを活用した欧米は着実に生産性を上げてきた。

 日本企業もデジタルを使ってはいるが、小規模な改善にとどまり、生産性を上げるまではできていない。もっと、重要な経営課題に踏み込んで、デジタルを活用することに取り組む必要があるのではないかと考える。

 そこで、「重要な経営課題をデジタルで解決するために」どのような取り組みが必要かを考えてみたい。

1、重要な経営課題とはどんなものか

(1)表面化している課題(例)

  • 人手不足で、人材獲得競争が激しく、賃金上昇によりコストが増える
  • ホワイトカラーの人件費が固定費となり、また生産性が上がっていない
  • 利益率が一桁で、グローバル標準の20%にはかなり遠い

(2)長年の懸案課題(例)

  • 販売チャネルに品質のばらつきがあり、レベルを上げたい
  • 顧客とのつながりが事業部門ごとに縦割りになっている
  • ERPの導入にあたり、コストが膨らみ、効率化効果が不明

2、この経営課題をデジタルで解決しようとすると

 デジタルだけですべてが解決できるわけではない。しかし、デジタルを使うことで一定の生産性向上効果が実現できるうえに、新しいビジネスプロセスを導入しやすくなり、プロセスを可視化して継続的な改善のためのデータも取集できる。

 しかし、いざ実際に経営課題に取り組もうとすると、いくつかの壁がある。例えば、ホワイトカラーの変動費化・生産性向上をテーマに、デジタルをどのように活用できるかを経営が考えようとしたとき、以下のような問題に遭遇することが多い。

(1)課題解決を担当する部門がない

 ホワイトカラーの生産性を組織ヨコグシで調査・分析・改革を担当する部門がない。そこで、各部門それぞれに指示するも、改善を図る部門はない。

(2)デジタルだからIT部門に頼んでも

 IT部門は、ビジネスからの具体的な要請をソフトウエアにする役割だから、ビジネスの生産性向上を企画できる能力は持たない。

3、経営や事業部門とデジタルとの間に大きな空白がある

 経営課題を解決しようとしたとき、解決したいとする経営者の手の届くところにデジタルがない。大きな空白地帯の向こうにデジタルがありそうだが、声が届かないという感じになっている。もう少し具体的に「空白」を分析してみると、以下のようにいろいろなところに空白がある。

(1)「現場」と「経営」の間にある「空白」

 日本企業は「現場の改善」を大事にすることで成功を手にしてきた。一方、このアプローチは、部分的な効率化を追求するもので、企業全体を見渡す構造改革の視点に欠けることがある。故に、ホワイトカラーの生産性という企業全体での視点で行動する部門が存在しない。また、利益率20%を目指そうとすれば、既存のオペレーション改善のレベルでは不可能だが、抜本的な改革を企画する部門がない。

2)「事業部門」と「IT部門」の間にある「空白」

 ITの技術が日々高度化していくなかで、その技術進化を追うIT部門と多忙な事業部門との間に「空白」が生まれている。その空白が、密なコミュニケーションをとりにくい深い溝になっており、ざっくばらんな対話の機会が持てない。

 よって、「事業改革」レベルの案件を深く相談する機会がつくれない。結果、小規模な改善を繰り返すことになり、経営課題とデジタルがますます遠くなっている。

(3)「事業部門」と「顧客」と「IT」の間にある「空白」

 企業の商品やサービスを、ITを使って顧客とダイレクトに手続きする業務が増え続けている。一方で、事業部門縦割りでのサービス提供になっているとか、顧客がこれらのITサービスに関してストレスを感じているなど、新たな問題が出てきているが、それらをマネジメントする部門がない。

(4)「ERP」と「経営」と「事業部門」と「IT部門」と「現場」との間に「空白」

 業務改革は、必ずそれを支えるソフトウエアを調達する必要がある。ERPを選択したケースでは、投資額の超過、改革効果が出ない、導入そのものが失敗など、多くの失敗事例が報告されている。

 この問題も、社内のどの部門もERPとの間に「空白」があることに起因しているのではないだろうか。

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この記事の著者

横塚裕志
横塚裕志

NPO CeFIL理事 DBIC共同代表、SMIC共同委員長 ・1973年 一橋大学商学部卒業後、東京海上火災保険へ入社 ・2004年東京海上日動火災保険IT企画部長 ・2007年東京海上日動火災保険常務取締役 ・2009年東京海上日動システムズ代表取締役社長 ・2014年CeFIL理事長 ・2015年情報サービス産業協会会長 ・2016年CeFIL内にDBIC立ち上げ ・2021年FPTコーポレーション取締役 インフォテック取締役、日本疾病予測研究所取締役、 産業技術総合研究所研究評価委員会(情報・人間工学領域)委員長、 高崎商科大学アドバイザリーコミッティーメンバー、 富山大学非常勤講師なども務めた 寄稿:「日経コンピュータ」の連載「SEよ 大志を抱こう」2009年11月~2013年4月 著書:2012年 「SEよ 大志を抱こう」日経BP社、2013年 「SEを極めるプロフェッショナル仕事術」日経BP社

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