デジタル技術の進化が加速する中、ビジネスとITの連携強化は不可欠であり、ビジネスアーキテクチャはその橋渡し役として注目されている。
現代のビジネス環境はグローバル化やデジタル化により複雑化し、企業は迅速な変化への対応と全体最適化が求められています。しかしながらDX推進や基幹システムの更新の失敗、不十分なデジタルビジネス対応など課題が顕在化しています。このような状況下で、ビジネスアーキテクチャは企業全体の構造と機能を可視化し、戦略と実行の整合性を確保することで、変革を推進し、持続的な成長を支援する重要な役割を果たします。
特に、デジタル技術の進化が加速する中、ビジネスとITの連携強化は不可欠であり、ビジネスアーキテクチャはその橋渡し役として注目されています。また、顧客ニーズの多様化に対応するため、顧客中心の視点からビジネスプロセスや情報システムを設計する上でも、ビジネスアーキテクチャの重要性は高まっています。
そのビジネスアーキテクチャですが、この言葉はさまざまなシーンで少しずつ異なる意味で使用されています。ここでは混乱を避けるためにその代表的なものを上げ、ここでの解説対象とするビジネスアーキテクチャを特定します。その上でビジネスアーキテクチャが企業、組織内で果たす役割について、その概要を解説します。
以下にビジネスアーキテクチャに関連する3つの例を挙げます。
先に上げたビジネスアーキテクチャとビジネスアーキテクトは、それぞれの考え方や体系の中でその役割が定義されたものです。これに対して、ビジネスアーキテクチャの考え方とテクニックを汎用的に体系化したのが、米国に本部があるBusiness Architecture Guild が提唱する知識体系であるBizbokのビジネスアーキテクチャです。
Bizbokは業界や特定のフレームワークに依存しない一般的な定義を提供していますが、業種、業界向けのリファレンスも示しており、個別業種での適用も可能な体系となっています。Bizbokでは、ビジネスアーキテクチャを「ビジネス戦略を実現するための構造と振る舞いの設計」と定義しています。「構造と振る舞い」とは、ビジネスの仕組み、機能、およびプロセスを指します。
ビジネスアーキテクチャは10個のビジネスドメインを持ちます。さらにドメインは、4つのコアドメインと6つのその他ドメインに分類されます。
コアドメイン:Capability(ビジネス能力)、Value Stream(価値創造の流れ)、Organization(組織構造)、Information(ビジネス情報)
その他ドメイン:Stakeholder(関係者)、Strategies(戦略)、Policies(方針)、Products & Services(製品とサービス)、Initiatives & Projects(イニシアチブとプロジェクト)、Metrics & Messures(指標と物指し)
上記の図はドメインをマッピングしたものです。中心にあるコアドメインはビジネス的に安定した、あまり変化しないビジネス領域です。外側のその他ドメインはビジネス環境によって変化する、ビジネス領域です。
ビジネスアーキテクチャはこのドメイン毎にMapと呼ぶモデルを作成し、ビジネス構造を可視化します。またそれぞれのモデルをクロスマッピングすることで、さらにビジネスの状態を多角的に理解する手段を提供します。
ビジネスアーキテクチャは次のようなアウトカムを創出します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授