ダメージを回復し、さらに進化させるために重要な睡眠。ただ眠るのではなく、はっきりとした睡眠戦略を実践することで、最高のパフォーマンスを実現することができるという。大谷翔平選手やマーク・ザッカーバーグ、ラリー・ペイジなどの成功者が実践している睡眠戦略とは、どのようなものなのだろうか……?
ライブ配信で開催されているITmedia エグゼクティブ勉強会にスリープコーチの角谷リョウ氏が登壇。2024年5月に上梓した著書『一日の休息を最高の成果に変える睡眠戦略』に基づき、「睡眠は最強のビジネスの武器になる――あなたに合う睡眠戦略が必ず見つかる7つの睡眠法」と銘打った講演を行なった。14万人の睡眠を改善してきた超回復コーチである角谷氏によれば、睡眠はビジネスの最強の武器になるという。大谷翔平選手やマーク・ザッカーバーグなどの成功者がそれぞれ実践している7つの睡眠戦略について教えてくれた。
情報過多な現在、中間管理職など、組織でマネジメントの役割を担う人の50%以上が軽い燃え尽き症候群以上になっているというデータがある。さらに、メンタルダウンするメンタル不調者も年々増えており、ストレスの反動で依存症になる人も増え、日本人のスマホ依存度は世界3位の高さとなっている。
ストレスの高い人とストレスの低い人では、やはりストレスの低い人が長生きする。アメリカで3万人の人を8年にわたって追跡した結果、高いストレスを受けているグループはストレスが低いグループに比べて死亡率が43%高かった。しかし高いストレスに対してポジティブに対処しているグループの死亡率はもっとも低いという結果が出ている。また、ストレスに対するポジティブ対策を行ったグループは、仕事の量・質・効率・正確性、さらに集中力・創造性・協調性の向上が見られたという。
「つまり、強いストレスを受けても、ポジティブに対処して超回復することで、状態は元に戻るだけではなく、長生きして能力が上がるということです。現代社会では、いろんな情報、高いストレスの中でうまく休養を取ることで、今まででは考えられないようなパフォーマンスが出せるということです」(角谷氏)
ストレスや変化に対して「超回復」することで、さらに自身の能力を上げて仕事も人生も楽しむことができる。その超回復のために重要なのが、睡眠である。
睡眠の中でもっとも重要なのは、入眠後3時間の睡眠と言える。睡眠時、人は1.5時間ごとに「深いノンレム睡眠」と「レム睡眠」、「浅いノンレム睡眠」を繰り返している。入眠後の3時間、この2クールが重要なのだ。深いノンレム睡眠時、デルタ波というゆるやかで大きな波長の脳波が出る。このデルタ波が出ていると、成長ホルモンが出て、脳にたまったアミロイドβが除去される。アミロイドβはアルツハイマー型認知症の発症の主原因とされるタンパク質であり、アミロイドβが蓄積することでアルツハイマー型認知症が発症すると言われている。
「この3時間でしっかりと深いノンレム睡眠が取れることが重要です。ここの睡眠が深いと、超回復できて進化する睡眠に入りやすいのです。深いノンレム睡眠時に身体と脳が回復し、レム睡眠時にメンタルが回復・進化し、浅いノンレム睡眠時に身体と脳が進化します。だからまずは30分くらい、深いノンレム睡眠を取って身体と脳が回復させてください。理想は90分くらいですが、そこまで深い睡眠を取れる人はなかなかいないのが現実です」(角谷氏)
睡眠の話になった時、よく「ショートスリーパー」か「ロングスリーパー」か、といった話題になるが、日本人の80~90%はどちらのタイプでもなく、通常の睡眠時間が必要な「バリュアブルスリーパー」だ。ロングスリーパーは3?9%、ショートスリーパーは5?8%しかいない。多くの人は、トレーニングによって睡眠スタイルをコントロールすることが可能なのだ。
「例えば起業したばかりでがむしゃらに働かなければいけない時、子どもが生まれたばかりであまり眠る時間がない時、自分のペースでおだやかに生活できる時など、人生のフェーズによって睡眠スタイルはいろいろあります。その時々でそれぞれの睡眠のメリットデメリットを理解したうえで、睡眠スタイルを変えるという戦略が、これから必要になってくるわけです」(角谷氏)
一日の休息を最高の成果に変える睡眠戦略として、著書『一日の休息を最高の成果に変える睡眠戦略』の中で角谷氏は以下の7つの睡眠戦略を紹介している。
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明治学院大学 経済学部准教授