40代・50代のサラリーマン、企業人事担当役員、定年経験者への徹底したヒアリングを通じて明らかにした「リアルな定年後の真実」と、定年後に稼げる可能性を広げる準備とは。
「再雇用があるから」「年金で何とかなるだろう」。多くのサラリーマンが定年後について、こう考えている。しかし、定年を迎えた瞬間、それまで信じてきた会社という舞台は静かに幕を下ろす。肩書きも組織の後ろ盾も、名刺のロゴも翌日には全て音を立てて消えていく。
元ビルボードジャパンCEOで、株式会社B&EP代表取締役、『再雇用でいいですか? 実はあなたも定年後十分稼げる 40・50代から身につけるべきノウハウのすべて』の著者である北口正人氏は、1月に開催されたITmedia エグゼクティブ勉強会で「定年時に再雇用以外の選択肢を持てるように準備をしよう」と訴えた。
阪神電鉄に入社後、ジャズクラブ「大阪ブルーノート」を立ち上げ、ビルボードブランドを日本に導入。Billboard Japan CEOとして音楽・メディア業界を牽引してきた北口氏が、40代・50代のサラリーマン、企業人事担当役員、定年経験者への徹底したヒアリングを通じて明らかにした「リアルな定年後の真実」と、定年後に稼げる可能性を広げる準備について語った。
北口氏がこの本を書こうと決めた理由は、会社員時代に大変尊敬していた先輩の姿があったからだ。
「人望も厚くて部下から非常に慕われ、そして仕事の成果も素晴らしい。絶対に役員になると思っていた先輩がいました」と北口氏は振り返る。しかし、その先輩は残念ながら役員になることができず、57歳で役職定年を迎えた。
部長から一般社員、さらに部下の下で働く立場となり、意思決定権や影響力を徐々に失っていった。お疲れさま会で話をした際、「自分の居場所がない。自分には何の価値もない」と落ち込み、自信をなくしていた姿が印象的だった。
「会社のためにここまで尽くしてきたのに。終わってみれば何も残っていないじゃないか」。この言葉が今も北口氏の心に残る。北口氏自身も60歳で会社を退職すると決めたときに、「あれ、自分って会社を離れたら何者になるんだろう」と少し怖くなったそうだ。だからこそ定年はゴールではなく、新しい人生のスタート地点だと考えるようになった。
北口氏は本を書きながら、40代、50代、60代の現役のビジネスパーソンと数多くの対話を重ねた。300人にアンケートを取ったところ、95%以上の人が定年後に対して不安があるという回答だった。
「定年後の不安とは、生活の不安と存在の不安の2つが絡み合っているんです」と北口氏は指摘する。生活の不安とは、年金や老後資金のこと。存在の不安は、会社を離れた自分に価値があるのか、自分は何のために生きていくのかという問いだ。
北口氏が強調するのは、これらの不安はどれも今から準備をすれば解消できる点だ。逆に準備をしないまま60歳を迎えると、どれも現実の壁となって立ちはだかる。
実際に定年を迎えた人たちの後悔の声を集めた北口氏は、驚くほど多くの人が口にする言葉があるという。それは「もっと早く準備をして計画しておけばよかった」だ。
「定年後、後悔している人と輝いている人の違いは、準備をしたか、していないか、私はそれだけだと思います」
北口氏は、健康寿命という視点から定年について考えることの重要性を強調する。日本人男性の平均寿命は82歳、女性は88歳。
健康寿命とは、介護や医療に頼らず、自律して生活ができる期間のことで、平均寿命より約10年短い、大体75歳ぐらいまでで、60歳からだと15年。この15年をどう生きるかで、人生後半の幸福度は大きく変わる。
定年後すぐ体を壊してしまう人は少なくない。逆に健康と挑戦心を持ち続けている人は、70歳を過ぎても元気に働いて社会で活躍している。
「健康は与えられるものではありません。意識して作っていくものです」と北口氏は語る。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授