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今こそリーダーシップの発揮を!誤解していませんか? マネジメントとリーダーシップの違いを生き残れない経営(2/2 ページ)

閉塞状態の日本経済を大震災が襲って、日本経済がますます深刻さを増すこの逆境の時こそ、国家も企業もトップや幹部に真のリーダーシップが求められているのだ。

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 さて、理屈は分かった。しからば問題は、例によって実現のための方法論である。

 リーダーシップを発揮するための訓練・行動を具体的にどうとるべきかだ。

 1つの方法は、コッターの示唆にある。

 コッターによれば、前提条件は「トップマネジメントが腹をくくっていること」だ。「トップマネジメントが本気に欠けていること」があっては、決してならない。

 その上で、最低2つのことが必要であるとする。

(1)「プレッシャーです。いままでのやりかたが通用しないことを伝えて、ちょっと尻を突いてやるのです。現在のぬくぬくした環境から厳しい世界にさらしてやるのです。」

(2)「どのようなリーダーが今求められているか、そのロール・モデル(手本:筆者注)を明らかにすることです。これだけ急速かつグローバルに変化する状況にあって、企業が生き残り、事業を健全に継続させるには、どのようなリーダーシップを発揮すべきなのか、全員に認識させるのです。」

 さらにこれに加えて、ここではもっと具体的にして卑近な方法を示す必要があろう。社員を若いうちから教育することだ。そのためにはトップ・経営者・管理者・教育担当部門が、マネジメントとリーダーシップの正確な定義とその違いを明確に認識することが不可欠だ。その上で、その認識を社内に定着させ、企業風土にまで昇華させなければならないという義務感、あるいは自らに対する強迫観念さえを、彼らが持たなければならない。

 そして、社内における座学・OJTで社員を教育する。特にOJTのあちこちの場面でロール・モデルが展開されると、リーダーシップが社員に知らず知らずのうちに刷り込まれる。

 それができるのは、しかもそれを継続的に全社に展開できるのは、トップをおいて他にない。またまた、すべての責任がトップに帰するわけだ。

 そして、今この緊急時には「トップマネジメントが腹をくくって」「本気」を出すことだ。上掲例のA社トップも、B社該当部門トップも、残念ながらそういう環境に恵まれずに育ち、自分自身もそういう環境作りを怠って来たし、腹もくくれないので、役に立たない。

著者プロフィール

増岡直二郎(ますおか なおじろう)

日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを経て現在、「nao IT研究所」代表。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)。



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