検索
連載

素晴らしいプレゼンは15分で完了する海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/3 ページ)

しおれた植物のように活気のない、悲惨なプレゼンテーションを行っていないだろうか。映画「ジョーズ」は始まってわずか2分で、観客を引き込んでいく。目指すのはこれである。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
エグゼクティブブックサマリー
前のページへ |       

人はストーリーを好む

 もっとも優秀なプレゼンターは要点を伝えるためにストーリーを活用します。スピーチをする際は、必ずストーリーを織り込んでください。ストーリーを有効活用するには、まずストーリーの要点を話すことから初め、それから出来事を年代順に展開してください。

 そうすることでスピーチを7分以内に収めることができますし、ストーリーを簡潔で的を射たものにすることができます。ストーリーは30秒から60秒にまとめ、上手に話してください。また、できるだけ個人的なものにしましょう。最後にもう一度要点を伝えてください。

 どんなことでも物語にすることで、それは記憶に留めやすくなるわけです。時系列で追えるようにするとより効果的でしょう。

切り替え

 席に座ってじっとし、プレゼンターに注目し、話を注意深く聞き、提供されたすべての情報を頭の中で整理し、耳にしたものから意味を見出す。

 これらすべてを行える聞き手はいません。その中からできるだけ沢山のことを、できるだけ簡単に行えるようにしてあげることが、プレゼンターの仕事です。聞き手の注目を集め続け、聞き手に意識を集中し続けてもらうことのできる、切り替えの言葉をプレゼンテーションに織り込んでください。切り替えの言葉は次のような主要な節目に取り入れてください。

切り替えの言葉を取り入れる主要ポイントとは?

 ・つかみ:「今日は3つのポイントについて話します。それは……」

 ・1つ目の要点:「1つ目のポイント、お金の節約の方法について話しましょう」

 ・2つ目の要点:「以上がポイント1つ目です。では、ここからは2つ目のポイント、時間の節約の仕方について話しましょう」

 ・3つ目の要点:「2つ目のポイントは以上です。次に、3つ目のポイント、プロジェクトの実施にかかる時間について話しましょう」

 ・まとめ:「では3つのポイントをざっと振り返りましょう」

 ・終わり「では、これからどうすればよいのでしょうか?」

 切り替えの言葉を使うと、プレゼンテーションは不格好になってしまうことがあります。ですが、それで良いのです。プレゼンテーションは洗練されたものである必要はありません。分かりやすい形でコミュニケーションを取ることが重要なのです。切り替えの言葉を使えば、コミュニケーションが円滑になります。

 プレゼンテーションはひとつのコミュニケーションです。一方通行であってはならないので、まずは伝えるべきことを明確に伝えましょう。そのステップがここに書かれています。そして相互のコミュニケーションが次の質疑応答になります。

質疑応答の利点

 質疑応答のセッションは極めて重要です。プレゼンテーション全体を成功に導くことのできる秘密の材料として質疑応答を捕えてください。質疑応答のセッションはダクトテープのようなものです。スピーチの中で生まれたあらゆる問題を解決することができます。

 本題からずれた問題や詳細を質疑応答のセッションで網羅することで、プレゼンテーションの本論では3つの要点に的を絞ることができます。要点以外に聞きたいことがあれば、聞き手は質問してきます。そのため、質疑応答の時間に全体の半分以上をかけることが重要なのです。

 質疑応答のセッションを設けることで、プレゼンテーションに余計な情報や過剰なパワーポイントのスライド(6枚が最適です)を詰め込まずにすみます。もしパワーポイントを使わなければならない場合は、スライドを作る前に必ずきちんとプランを立ててください。プレゼンターの多くは何か基盤になるものが必要だと思うため、スライドを最初に作ろうとします。しかし、このようにして作られたスライドこそが、ほとんどのプレゼンテーションが退屈なものになる大きな原因なのです。

 賢い営業担当者は、顧客からの反対意見を売上を伸ばすためのチャンスとして快く受け入れます。質疑応答の時間は同じように、プレゼンテーションのコンセプトを聞き手に納得させるチャンスを与えてくれます。もし準備をしっかり行っていれば、聞き手からの質問に困ってしまうのではと心配する必要はありません。準備を整えるということは、質問に備えるということです。されるだろう質問を事前に15個考え、それぞれに対する理にかなった簡潔な答えを用意してください。

 質疑応答のもう1つの利点は、最も自然に対話形式のスピーチが行えるという点です。つまり、聞き手と言葉による意見交換が行えるということです。人は、壇上からどちらかといえば不自然で横柄な話しかたをされるより、この種の会話をすることでより打ち解けることができます。

 質疑応答での答えは、手短にしてください。簡潔に答えることで、知識と自信がある人物だという印象を与えることができます。もしスピーチの途中であっても、要点ごとに質問を受け付けたい場合は、質問をしてもらえるよう聞き手にお願いしてください。

 賢いプレゼンターはあらかじめ聞き手に質問を仕込んでおくこともあります。どのような手段を使っても、例えスピーチの途中で飛び出したものであれ、質問には遅れることなく答えることが重要です。プレゼンターは聞き手の役に立つためにいるのです。聞き手が知りたがっていることがあれば、彼らが必要とするデータを彼らが要求してきた時に提供してください。

 プレゼンテーションで一番重要なことは、この質疑応答と考えています。質問が全くでないということは、そのプレゼンに全く興味がないか、理解できないということを示しています。つまり、質疑応答の数がそのプレゼンテーションへの関心度を指し示していることを忘れないでください。

著者紹介

ジョーイ・アッシャーは、アトランタにあるコミュニケーション能力コーチング企業であるスピーチワークス社の代表を務めています。「Even a Geek Can Speak」の著者です。


プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長

鬼塚俊宏氏

経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。


Copyright© 2014 エグゼクティブブックサマリー All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る