1カ月でブランドを確立する方法:海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/3 ページ)
ブランドとは、顧客が頭の中で抱いている製品やサービスのイメージである。強力なブランドとは魅力的で、信頼が置けて、時代遅れでないもの。ナイキの翼を模したロゴを見て直観的に感じるようなことである。
ライバル社を知る
どのような製品あるいはサービスでも、競合相手が存在します。それにおじけづいてはいけません。競合相手に関する知識を得てください。地元地域、国内、そして世界の競合相手を調べてください。相手の強みを特定し、どうすればそれに勝るブランド経験を提供することができるか考えてください。競合するブランドから消費者が連想する要素を調べ、自社ブランドがそれとどう異なるのか、考えてください。
競合他社の存在を知ることは差別化へのよいチャンスと見たほうが良いのです。どのように異なる打ち出し方をすれば顧客メリットを訴求できるかを考えましょう。
市場を知る
ターゲット市場を特定してください。すべての人に好かれることはできないことを覚えておいてください。すべての人を喜ばせようとすれば、ブランドは特異性と焦点を失います。まず、ターゲットとしない顧客を特定してください。例えば、B&Bホテル(日本の民宿のような宿泊施設)を経営している人は、24時間のルームサービスを求めたり、ペットと一緒に泊まりたいと言ったり、ケーブルテレビを希望する客を欲しいとは思わないでしょう。
誰にブランドの価値を見出してもらうのか? 顧客の絞り込みが必要なのです。
自社ブランドを分析する
「シックス・レッグ・スパイダー(6本足のクモ)」と呼ばれるエクササイズが、自社ブランドの分析をする上で役に立ちます。まず、大きな紙の真ん中に円を描いてください。その円の中心から放射線状に6本の線を引いてください。そして、その線それぞれに、次の質問に対する答えを描き込んでください。
エクササイズで自社ブランド分析をする!
- 製品 / 恩恵
自分の会社があつかう製品、あるいはサービスとは何か?それは顧客にどのような恩恵を与えるか?
- 求めるポジショニング
競合相手のブランドと比べて、顧客は自社ブランドをどのように認識しているか?
- スタイル
自社ブランドはどのように顧客と関わり、繋がっているか?
- ミッション
自社製品あるいはサービスの本来の目的は何か?
- 未来のビジョン
長期的に何を成し遂げたいか?
- 価値
自社企業の価値は何か?形態学的分析から見つかった価値はどのようなものか?
自社ブランドの分析に客観的を考察するためにこの方法は非常に有効です。
ポジショニング
ポジショニングとは、「競合するブランドと比べて、自社ブランドが顧客の心あるいは頭のなかで占めるスペース」という意味です。
例えば、高級自転車を扱う自転車屋さんを経営しているとします。通りの先には、自転車だけでなく、その他のスポーツ用品も扱うスポーツ店があります。そのスポーツ店を、自分のお店の顧客を奪い取るライバルだと思うのではなく、自分のお店をそのスポーツ店と関連付けたポジションに置いてください。
自分のお店は高級品を扱うお店であり、相手のお店はその類似品を売るお店です。自分のお店の店員は専門知識が豊富であり、相手のお店の店員は多方面の才能を持っています。そして、自分のお店の顧客は、週末だけ自転車にのるのではなく、熱心なサイクリストです。
自社ブランドの強みと目標を明確にした、社内で使用する簡潔なポジショニング・ステートメントを作ってください。そして、その目標を達成するために使える手法と、顧客にとっての自社ブランドの意味を説明してください。そして、製品のスローガンなど、ポジションを示す言葉を宣伝に使用し、ブランドのイメージを明確にしてください。
例えば、ナイキは「ジャスト・ドゥ・イット(毎日が最高のチャンスだ)」というスローガンを、バドワイザーは「キング・オブ・ビアー(ビールの王様)」というキャッチフレーズを使っています。スローガンは短く、シンプルで信ぴょう性のあるものでなければいけません。ダジャレや外国語は避けましょう。
キャッチフレーズの候補をいくつか考え、誤字と文法をチェックし、決定する前に消費者モニターで試験してください。
「ポジショニング」つまり、自社が存在している業界のなかで自社がどういう立ち位置で、何を顧客に提供しているのかを明確にすることです。それを理解することで、よりターゲットをも明確にできるのです。
著者紹介
サイモン・ミドルトンは、ブランド・ストラテジー・グル社の創設者です。
英国のテレビ番組、「ザ・ブランド・エフェクト」の司会を務めています。
プロフィール:鬼塚俊宏ストラテジィエレメント社長
経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。
Copyright© 2014 エグゼクティブブックサマリー All Rights Reserved.
関連記事
- 素晴らしいプレゼンは15分で完了する
- 階層構造からの脱却
- 1時間の集中で人生を変える方法
- 社内政治に負けない方法
- 「良いチーム」は機能しない
- 企業家のための心をコントロールする方法
- マーティン・ルーサー・キングJr.のリーダーシップ
- 価値あるコネの作り方
- 企業文化を変え、考え方を根本から変える
- 世界の課題を解決する新たな経済システム
- アウトソーシングを変える5つのルール
- 中間管理職の真実
- 口コミの力
- 儲けたいなら2番手になれ
- 仮想教室を後押しする9つの法則
- 現状を打破する創造力を養う方法
- 3年以内に利益と収入を2倍にする方法
- 仕事に持ち込んではいけない行動パターン
- ピンチに強くなる
- デジタル時代はいかにしてわれわれのマインドを変えているか
- 時間に追われた顧客に売り込む方法
- 企業内部告発者が生き残るためのガイドブック
- 住みやすい地球を守り続けるためにするべきこと
- バーチャルプレゼンを使って、遠く離れた顧客の心をつかむ方法
- 立ち直る力を持った企業
- ゲーム性のあるマーケティング
- 石油ピークを迎えた世界が直面するエネルギーと経済の危機
- 驚異的な結果を出すグループの秘密
- 事業の多角化で企業を成長させる方法
- 成長企業の秘密
- 優れたリーダーはいかにして周りの人間の能力を高めるか
- 世界の美容業界の歴史から学ぶ、欲求ビジネス
- 中国が世界を支配する時
- 明瞭さと冷静さ、そして勇気を持ってヒートアップした会議をまとめる方法
- うつ病を理解し、乗り越える
- 19世紀ドイツの軍事戦略家による「計画実行法」