「雇われ社長」のプロの仕事術――社長は4つのことだけやればよい!:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
成功した経営者が実行している無数の経営行動には共通点がある。企業を成功に導く4つの「繁栄の黄金律」とは。
2、「組織の効率化」
「社長は一人では何もできない」というのが、6回社長をしてきたわたしが身にしみて感じたことです。従業員数が20名を超えたら、しっかりした組織形態を作り始めましょう。部門責任者なら、20名以上の部下を直属で持つことは賢くありません。それは4、「コミュニケーション」で無理が出てくるからです。
部下の中で一番最初に作るのは、というより「見い出す」べき存在をわたしは「同志幹部」と呼んでいます。あなたの同志幹部は誰ですか?
「成長戦略」を受ける媒体として組織を再構成するわけです。その際、幾つかの鉄則があります。
まず、「組織の三要素」というのを考えます。それは次の3つです。
(1)ヒト
(2)仕事の割り振り
(3)組み合わせ
「企業はヒトなり」とよく耳にしますが、実はそれだけに頼ると何も起こりません。組織を生かすには、「三要素」を総動員する必要があります。
「ヒト:従業員」は皆が伸びるわけではないので、業績を伸ばすためには「伸びるヒトを伸ばす」という割り切った考え方と、「伸びるヒトは誰か」という選別眼が必要です。また伸ばすべきヒトを伸ばすためには、対象者への徹底的なサポートと早期に責任がある仕事を与えます。「舞台に乗せればヒトは舞う」のです。
3、モチベーションを上げるリーダーシップ
仕事を任せると社員はやる気を見せます。でも、実は危なっかしい。そこで、「任せっぱなし」にしないで、「任せたふり」をして、しっかり見守ってあげることです。そして「7割りできたら褒めろ」と言っているのは星野リゾートの星野佳路社長ですが、わたしも同感です。社長自身もネアカに振るまい、「明るく・楽しく・元気良い」職場を演出しましょう。
またモチベーションを上げる基本的な3要素は次の3つです。
(1)報酬(改善可能性でも良い)
(2)研修機会
(3)トップからのコミュニケーション
「繁栄の黄金律」で個別の要素を考えることが「機能別戦略の設定」とすると、4つ全体を有機的に設定することが「全体戦略の設定」となるわけです。その際、経営資源にあまり余裕がない中堅や中小規模の経営者が陥らないようにしたいことがあります。それは、身の丈にあった戦略を立てよう、ということです。
「新」が付くところがまず危ない。「新市場」「新顧客」「新製品」「新技術」などです。これらのことはブルー・オーシャン戦略がふりまいた「青い鳥幻想」です。欧米の先端企業をベースとした、舶来や流行りの競争戦略セオリーに乗ると大やけどすることがあるので気を付けましょう。
著者プロフィール:山田修
1949年生まれ。(有)MBA経営代表取締役。
学習院大学卒。37歳より外資4社、日本企業2社で社長を歴任、「企業再生経営者」と評された。実業引退後、経営者に戦略を立案してもらう「経営者ブートキャンプ」を主宰・指導。講演や、企業での部門戦略立案指導、部長研修なども。『超実践的経営戦略メソッド』(日本実業出版社:「本のソムリエ」で2011年最高評点)他、著書多数。
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