今30代に求められるのは後輩を育て、上司を動かす「アニキ力」:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
企業の未来はこれまでの延長線上にはない。変革期には過去の常識が非常識になり、これからの世代に道を譲る必要がある。30代への期待は大きい。
多くの企業がこれまでの延長線上に未来はないと考えはじめ、イノベーションを目指すようになってきているからだ。そもそも時代の変革期には上の世代の常識が非常識になり、上の世代が蓄積してきた能力や知見が色褪せるものだ。高齢者雇用安定法が改正され定年が延長されることで、多くの企業では年功序列が維持できなくなり、上司部下の年齢逆転も珍しくなくなってきている。そんななか、ダブつく40代半ば以上のバブル入社組を選別する一方で、30代の抜擢を模索し始めているのは必然の潮流だと私は感じる。
元祖就職氷河期世代である30代は貧乏クジを引かされてきたと思いがちだった。しかし、時代は一転。活躍のステージは目前に迫っている。チャンスは目前だ。そしてそれを生かせるかどうかはあなたの姿勢と行動変容にかかっている。
私の目には、この時代の転換期が約150年前の幕末・明治維新のころと重なって映る。坂本龍馬しかり、桂小五郎しかり、西郷隆盛しかり、高杉晋作しかり。当時大活躍したのはみんな30代前後の若者だった。そして、そこで求められたのは、内向きのスキルアップではなく、外向きのリーダーシップだった。
人を動かすリーダーシップは、利己的に映りがちなスキルアップと対極にあるかもしれない。利他・愛他のために、つまり世の為人の為にがむしゃらにならなければ、人はついてこないからだ。維新のリーダーたちの物語をたどれば明白だ。この真理は今も昔も変わらないのではないだろうか。2月12日(水)18:30から八重洲ブックセンターで刊行記念講演会も予定しているので、関心ある方はぜひ足を運んでほしい。
アニキやアネキとして、チームのためお客さまのためにどう働くべきかを考えてみよう。そして、上司や経営者など目上の人に一歩踏み込み、後輩やメンバーを育て励まし、さらには社内外の関係者をどんどん巻き込んでいこう。一人でも多くの30代が職場や会社を変えていく、そして時代を変えていく震源になってほしいと切に願う。
著者プロフィール:前川孝雄
(株)FeelWorks代表取締役・青山学院大学兼任講師
日本型ダイバーシティ・コミュニケーションの専門家集団(株)FeelWorks創業者。
1966年兵庫県明石市生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒業。(株)リクルートを経て、2008年同社設立。「絆」と「希望」を育むユニークな人材育成手法で話題を集める。「キャリアコンパス」「プロフェッショナルマインド」など、温かい絆を育み組織の体質を変えていく独自の「コミュニケーション・サイクル理論」に基づくプログラムを次々と開発。人間味溢れる講師も育て、人気の「上司力研修」シリーズは延べ100社以上で導入されている。得意の編集技術を駆使したメディア啓蒙による「人が育つ現場づくり」も手掛けている。親しみやすい人柄にファンも多く、自らも年間約100本の講演等、執筆・コメンテーターなど、多様な部下を育て活かす「上司力」提唱の第一人者として熱く発信し続けている。現場視点でのダイバーシティマネジメント推進、リーダーシップ開発、キャリア論には定評がある。『はじめての上司道』『女性の部下の活かし方』『年上の部下とうまくつきあう9つのルール』『若手社員が化ける会議のしかけ』『頭痛のタネは新入社員』『上司力100本ノック』『組織「再起動」プログラム』『勉強会に1万円払うなら、上司と3回飲みなさい』『結果を出す人の「報・連・相」』など著書多数。
2014年春に、感情移入できるオリジナルドラマをケース素材、著書『働く人のルール』を教科書とするOJTの強化・若手育成のための「ドラマで学ぶ『働く人のルール』講座」をリリース。
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