成功の仕組みを借りて、自分の「ビジネスモデル」を作ろう:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
企業が利益を上げるために他社との差別化をはかるように、これからは個人にも必要になる。人材のコモディティ化から抜け出すためには。
新聞のビジネスモデルは広告と購読料の2つの収入から利益を得るというものです。これを新しいネットビジネスに活用し、例えば記事の代わりに、レシピを集めたサイトを作り、広告とレシピの閲覧料でビジネスをしようと考えれば、新聞とはまったく違うビジネスになります(実際にクックパッドはこのようなビジネスを展開しています)。
このようにビジネスモデルだけを参考にして、違う業界に当てはめることを「借りてくる」と表現しています。新しいビジネスを立ち上げる際に、ビジネスモデルを考えようとした場合、他の業界から「借りてくる」ことが、一番簡単かつ有益な検討方法なのです。
個人の仕事にも「借りてくる」
われわれの日々の仕事にも、ビジネスモデルを借りてくることによって役に立つことがたくさんあります。例えば、ビジネスモデルのパターンの例としてよく挙げられる「ソリューションモデル」というものがあります。
営業の人は、自分が売り込みたい商品を売ろうとします。自分が担当する商品をひたすら説明し、説得し、買ってもらう、これが通常の営業スタイルです。
ソリューションモデルはその逆です。ひたすら顧客が欲しいものを聞き、欲しいものを提供するというもので、実は利益が得やすいモデルなのです。
このソリューションモデルを皆さんの仕事のやり方や働き方に応用できないでしょうか。例えば、上司や同僚を顧客に置き換えて考えてみましょう。もし、上司のニーズや同僚のニーズを把握し、ニーズに合った仕事をあなたが行えば、おそらく、上司も同僚もあなたの働きに満足するはずです。これは、まさしくソリューションモデルと同じです。
ここから考えると、自分がやりたい仕事をやり、その成果をひたすらアピールするというスタンスで評価を上げるよりも、もう一歩高いレベルのモデルであるソリューションモデルのほうが、評価が上がる可能性が高いのではないでしょうか。
まさしくこれがビジネスモデルから仕事のやり方を学ぶということなのです。
『ビジネスモデル×仕事術 成功する人は仕組みを借りてくる』では、「王道」「超速」「恊働」「細分化」「賢く稼ぐ」などのテーマに分けて、それに合ったビジネスモデルと、その使い方を紹介しています。いつか自分で事業を立ち上げたいと思う方から、自分の「ビジネスモデル」を作っていきたい人まで役立つ内容となっておりますので、関心のある方はご覧ください。
著者プロフィール:細谷 功(ほそや いさお)
ビジネスコンサルタント。株式会社クニエ コンサルティングフェロー。東京大学工学部卒業。東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティングに入社。製品開発、マーケティング、営業、生産等の領域の戦略策定、業務改革プランの策定・実行・定着化、プロジェクト管理を手がける。著書に『地頭力』(東洋経済新報社)などがある。
著者プロフィール:井上 和幸(いのうえ かずゆき)
経営者JP代表取締役社長・CEO。1966年群馬県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルート、人材コンサルティング会社取締役などを経て、現職。人材コンサルタントとして、企業の経営人材採用支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供している。著書に『あたりまえだけどなかなかできない係長・主任のルール』(明日香出版社)など。
著者プロフィール:西本 伸行(にしもと のぶゆき)
ビジネスコンサルタント。2000年大阪大学卒。電機メーカーを経て、06年ザカティーコンサルティング(現クニエ)入社。13年よりフリーのビジネスコンサルタント。主にビジネスモデル変革のコンサルティングを提供。「ビジネスを『モデル』化する技術」(共同執筆、東洋経済新報社「Think!』連載)。
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