説得せずに説得する:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
相手が饒舌であればあるほど不信感を抱いたことはないだろうか。話し方や伝え方が上達すれば説得できるのだろうか。弁護士として多くの人を説得してきたその秘訣とは?
相手の心理状態をしっかり把握し、十分な配慮をしてから相手の話に耳を傾ける。そして、相手の話しを咀嚼し納得した上で、クロージングトークをごくごく簡単にすればいいだけなのです。
この方法は、身に付けてしまえば誰にでも簡単にできます。話をするのが苦手であってもまったく構わないどころか、逆に不器用な話し方の方が相手の信頼を得ることさえあります。大切なことは、相手の心理状態をしっかり把握して、それを肯定的な方向にもっていく工夫をすることです。そのためには少々技巧的なことをする必要もありますが、特段難しいことではありません。最終的には、相手が自分で選んだという気持ちで納得してもらうことを目指しています。
あなたもきっとそうでしょう。理屈で分かっていても、感情的にイヤなことは受け入れたくないという気持ちになることが。これは、およそすべての人間が有する傾向であり説得が成功するか否かの最大のキーなのです。
相手が感情的に同調して自分の判断で選んだことだという気持ちになってもらえれば、説得はほとんど成功したと考えていいでしょう。
これは、コミュニケーション全般に当てはまります。コミュニケーションとは相手に自分の考えを分かってもらい、逆に相手の考えを理解することに他なりません。そして、コミュニケーションにおいて最も大切なことは、双方が感情的に共感することです。
たとえ、部下を叱るようなときでも、正論で叱ってから、すっと相手のパーソナルスペースに入って、ポンと肩を叩いて「君には期待しているんだから」と囁くだけで、部下のモチベーションは信じられないほど上がるものなのです。ところが、多くの上司は、叱ることによって部下のモチベーションを下げてしまうという残念なことをしてしまっています。
本書で説いた方法は、異性に対しても絶大な効果を発揮します。はっきり言ってしまえば、異性を口説くことが容易になるということです。現に、(真偽の程は未確認ですが)とあるホストクラブが新人ホストの研修用教材として本書を利用してくれているという話を耳にしました。異性を口説けるようになれば、同性を説得するのは易しいですし、職場での異性に対する接し方も自然に向上します。
営業マンの研修用に本書をテキストとして使ってくれている会社もあり、営業マンの顔が輝きだした、業績が伸びた、という嬉しい報告ももらっています。
本書は決して人間心理を悪用するような内容ではありません。あなたという価値のある人間を他の人達にしっかり認識してもらうための手助けをすることを目的としています。他の人々にあなたとの人間性をしっかり理解してもらうことこそ、最高の説得法だと信じています。
著者プロフィール:荘司雅彦
1958年、三重県生まれ。81年、東京大学法学部卒業、旧日本長期信用銀行入行。85年、野村證券投資信託入社、86年9月、同退社。88年、司法試験合格。91年、弁護士登録。2008年、平均的弁護士の約10倍の案件を処理する傍ら、各種行政委員会委員等も歴任。元SBI大学院大学教授。
著書は、「中学受験BIBLE」、「最短で結果が出る超勉強法」、「最短で結果が出る超仕事術」(いずれも講談社)、「荘司雅彦の法律力養成講座」(日本実業出版社)「小説離婚裁判」(講談社文庫)、「13歳からの法学部入門」(幻冬舎)など多数。その他、「PRESIDENT」「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊現代」など雑誌掲載記事多数。
また、コメンテイターや出演者として、テレビ、ラジオに多数出演。主な例は以下のとおり。モラルハラスメントのコメンテイターとして「こたえてちょーだい!」(フジテレビ)に2度出演。熟年離婚コメンテイターとして「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)に出演。嘘を見破る質問力で「ためしてガッテン」他に出演。等々。
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