90日プランで見える結果をすぐに出す「初速思考」:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
どんどん行動するような「走れるだけのタイプ」でも、思考をめぐらしてプランを練り上げる「考えるだけのタイプ」でも頭打ちになる。初速を出すための3つのフェーズとは?
「90日プラン」は3つのフェーズで考える
具体的に、目標突破のための筋道を考える方法として「90日プラン」の立て方を紹介したい。「目標突破」と言っているのは、「最低でも目標達成」を意識し、それをさらに伸長(ストレッチ)させることが理想だからだ。
私が日本支社の営業戦略を担当していたときに、グローバルの上級経営幹部と一緒に仕事をする機会に恵まれた。なかでも印象深いのは、ハーバード・ロー・スクール出身の戦略部門のトップだった。彼らはその並外れた頭脳と経験を駆使して、グローバル全社を動かす「90日プラン」を徹底的に練り上げるのだ。そのエッセンスを簡単に紹介したい。
まず、90日プランは次の30日×3つのフェーズで考える
フェーズ1.「初速」を生み出す(1〜30日)
リーダーになると、上司や部下への説明責任もあるせいか、「美しい計画」をつくるのに時間をかけがちだ。完璧な計画にこだわりすぎず、ポイントをしっかり抑えてさえいれば、6割ぐらいの完成度でいい。その分すぐに行動に移していく。同時に「1日1行の記録」を実践してほしい。
ここでのポイントは、ホームランを狙わずに、見える結果=成功事例をすぐにつくることが肝要だ。そうすれば、チームの士気も一気に上がる。
- 目標を立てる
- 目標の完璧さよりも、見える結果を意識する
- 小さくてもいいから、何らかの行動をする
- その過程を「1日1行」でいいので記録する
フェーズ2.「加速」する(31日〜60日)
フェーズ1で蓄積した記録をもとに、さらに強化すべきところを展開していく。すでに目標とのズレが出てきた場合は、適宜修正するアクションをとる。
- フェーズ1でうまくいった要素をさらに発展させる
- 目標とのずれはフェーズ1の経験をもとに修正する
- うまくいった要素を「アクションリスト」としてまとめる
- 集中して行動することを決めて、さらに大きな成功体験を蓄積する
- 1日1行の記録は継続する
フェーズ3.「成功をパターン化」する(61日〜90日)
ここまでくれば、成功要因をもとに今後の展開を社内外にプレゼンしやすい。ヒト・モノ・カネの追加投入を引き出せることもある。
- フェーズ2までの経験をもとにアクションリストをブラッシュアップする
- これまでの経験をもとに上司などに相談してアドバイスをもらう
- これまで未着手の目標を実行したり、次の90日プランを立てて、当初の目標をさらに加速させたり、ペース配分を修正する
成果とスピードを劇的に向上させる
目標突破に向けて加速するためのコツは、計画はそこそこに行動して成功した事実をつくり、その経験から成功要因を整理、「次の打ち手(ネクストアクション)」を導き出し、その成功要因を展開するべくリソースを一気に投入すること。
1月から3月は多くの企業にとって重要な四半期となるだろう。リーダーが「初速思考」をチームに導入すれば、スピードと勢いをもたらされ、成果を劇的に向上させられるだろう。分量の都合上、エッセンスを中心に紹介したが、具体的な事例などについては拙著『初速思考』をご一読いただきたい。
著者プロフィール:金田博之(かねだ ひろゆき)
大手製造メーカーで現在グローバルプロジェクトを推進。1975年生まれ。東京都立大学卒業後、98年SAPジャパンに入社。以来、入社1年目で社長賞受賞、29歳で副社長補佐、30歳で部長に着任、35歳で本部長に昇格するなど、それぞれのステージで圧倒的な結果を残す。アメリカ・ドイツ・アジア各国はじめ様々な国の人とともに働き、結果を出した業績が認められ、グローバル全社70000人の上位2%にも7年連続で選出された。プレジデント、ダイヤモンド、東洋経済、日経ビジネスアソシエ、日経トレンディー、GQジャパン、THE21など各種メディア掲載実績多数。サラリーマンでありながらこれまで6冊の書籍を出版。代表著書に『29歳からの人生戦略ノート』『結果は「行動する前」に8割決まる』『初速思考』(いずれも日本実業出版社)などがある。
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