視点
新興国における破壊的イノベーション(2/4 ページ)
新しいテクノロジーが産業に与えるインパクトは一層大きくなっており、予想を上回るスピードで進んでいる。日本企業も、従来型の新興国ビジネスではなく、業界、政府、消費者など、あらゆるステークホルダーの利害を考慮しながら、産業の発展に寄与していく未来を考える段階にある。
2、産業構造を革新するプレイヤーの台頭
これら東南アジアにおけるDisruptiveな変化を主導し、産業構造を革新している企業群において日本企業の名前は極めて少ない。その中心は、図の4タイプのプレイヤーである。(図 B)
それぞれアプローチは異なるものの、彼らに共通しているのは、いわゆる従来型の新興国ビジネスではなく、スピーディーかつ大胆に動き、さまざまな仕掛けを能動的に進めていることである。彼らの投資規模は1社あたり数十億円から数千億円に達し、ここ数年の間に圧倒的なスピードで東南アジアに攻め込んでいる。(図C)
変化が激しい東南アジアの市場で、前例を研究しながら将来を予測し、リスクを最小化しつつ、まずは小さく入っていく、というアプローチが、まったく機能しない。
彼らは、新しい事業に対し、まずは垂直立上げを狙うべく大規模な先行投資を行い、先行者利益を狙う。また、最初からベストな事業を構築することは目指さず、あらゆる取り組みのトライ&エラーを繰り返し、段階的にベストな事業モデルを構築する。必要であれば他社との大胆なアライアンスも進める。大規模投資リスクを回避するために、政府や業界のキープレイヤーを巻き込み、業界を自分たちが目指す方向に導いていく。つまり、先を予測して動くのではなく、動きながら引き寄せるのである。
事業が立ち上がった後、他社の追随を防ぐ有効な手段は、その産業の新しいプラットフォームとなることである。GO-JEKはバイクタクシーのシェアリング事業を展開しているが、モバイル決済や、バイクを用いたあらゆる生活サービス(買い物代行、食事や美容師のデリバリーなど)などのコンテンツをそろえた経済圏を構築しようとしている。生活の随所にGO-JEKのモバイルアプリが必須となり、経済圏に取り込まれれば、ユーザーのスイッチングコストは非常に高くなる。
GO-JEKは政府の他、同国の経済を支えてきた財界の重鎮企業とも連携をとっている。自動車製造・販売を手掛けるAstra International や、大手ECのBlibliはGO-JEKに出資し、GO-JEK経済圏を利用して自社事業の拡大を狙っている。
Copyright (c) Roland Berger. All rights reserved.
視点
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「対策している」と「守れている」は違う - 防御力を経営に見せる富士通のサイバーセキュリティ戦略
-
2
5年で辞める予定の元数学青年が「しなやかな心とぶれない軸」でCISOへ - 富士通 太田氏
-
3
貨物の搬送車両で自動運転「レベル4」 福岡空港、国内3カ所目
-
4
フィジカルAI実用化の壁をどう越えるか──経産省・PFNらが語る、"5~8桁足りない"学習データの現在地
-
5
パレスホテル箱根が2029年秋開業へ、国立公園内にマウンテンリゾート誕生
-
6
「話を聞いてもらえない」のは、内容のせいとは限らない――伝わる人が押さえる第一印象
-
7
ロボットや技術のフル活用で人手不足を乗り越えろ AIに頼らずに奮闘する現場を訪ねて
-
8
第55回:「誰が言ったか」で判断していないか──SNS時代、エグゼクティブに必要な「空気に逆らう力」
-
9
セキュリティは「使えてなんぼ」 認証との偶然の出会いから22年 - NTTデータ 星野氏
-
10
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー