ITで生産性を高める組織の作り方:ビジネス書著者が語る、リーダーの仕事術(3/3 ページ)
ITが仕事の生産性を高める手段であることは間違いないが、IT化すれば生産性が高まるとは限らない。その見極めこそが、リーダーにとって大切な能力である。
ITが自己目的化している人をどうするか
「ITが自己目的化している人」とは、例えばこんな人です。
- 何でもかんでも、デジタルツールでやろうとする
- 文書の体裁を整えるのに、必要以上に時間をかける
- デジタルツールをひんぱんに最新のものに買い替える
例えば、スケジュール管理なら、アナログの手帳が一番生産性に優れているはず
。次回のアポイントを決めるのに、相手がデジタルツールを取り出し、アプリを起動する時間にイライラした経験はありませんか。また、スマートフォンでキーを押して入力するよりも、手書きのほうが速いはずです。
アイデアがふと浮かんだときも同様。胸ポケットからメモ帳を取り出すのが一番速いはず。iPhoneで、アプリの起動を待っている間に、簡単なメモ書きなら終わってしまうのではありませんか。
デジタル化のメリットは「保存性」「編集性」「検索性」「共有性」と考えています。わたしは、iPhoneもXperiaも使っていますが、モバイルでのスケジュール管理、メモはアナログの手帳がメインで、メモが取れない電車の中、ネットで見つけた情報の保存くらいのものです。オフィスに戻って、パソコンで入力したほうが速いからです。
OSの起動、アプリの起動、ネットでのデータの同期は、意外に時間がかかります。また、パソコンの買い替えなども、インストール、データのバックアップに多大な時間を要します。
ITが好きな人にとっては、「こんなことができる」「こんなにきれいになった」といった新機能は魅力的です。このため、ITが自己目的化した人の生産性を高めることは、意外に難しいものです。今日、彼らのITリテラシーを仕事に活かせるかどうかこそ、リーダーの腕の見せどころと言えます。その重要性を理解して、生産性アップを実現されることを心より願ってやみません。
著者プロフィール:中山真敬
有限会社企画工房 代表取締役社長。1989年東京大学法学部卒業後、株式会社リクルートに入社。就職情報誌事業部企画、ワーク・デザイン研究室を経て退社し、フリープランナーに。2000年、有限会社企画工房を設立。主な著書に、『たった3秒のパソコン術』『たった3 秒のパソコン仕事術』『たった3秒のグーグル術』(以上、知的生きかた文庫)、『仕事ができる人の10倍パソコン術』(三笠書房)、『グーグル携帯<Android>最強活用術』(朝日新聞出版)など。
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