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「三菱商事の鈴木です」と言う自己紹介は世界標準ではありません!──グローバルに活躍する技術ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

「belong to」から「I am」スタイルへ。世界標準のコミュニケーションを知っていれば、世界で通用するビジネスパーソンに大きく近づく。

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 また、海外でのビジネス上の自己PRにおいては、個性を思い切り打ち出すことが大変に重要です。個性とは、その人なりの差別化、面白さのようなものです。「この人は面白そうだな、さらに話をしたいな」と思わせる魅力のようなものです。

 残念ですが、わたしを含めて日本人のビジネスパーソンは、「個性がなく退屈である」と思われているふしがあります。語学力の弱さも原因でしょうが、組織人の場合金太郎飴のように個性のないこと、話題が豊富でないことがその理由としてあげられます。また、ビジネスミーティングはいいのだけど、その後の食事会が苦手という日本人ビジネスパーソンは多いのです。

 世界標準での自己PRでは、「自分は他人とここが違うから面白んだ」という打ち出しをどんどん行っていくべきです。海外では、他人と同じであれば付き合っていてもメリットがありません。同じような話ばかりを聞いても意味がないからです。

 「タナカはターレクとは違った面白い話をしてくれるから付き合おう」となるのです。付き合いがないとビジネスに発展しません(価格が安いなどよほど条件が良ければビジネスに発展することもあるでしょうが、一般に長続きはしないのです)。では個性を打ち出すためにはどんなことをすればよいのでしょうか。

 ある外国人が多数参加するパーティーでのこと。

 ワインエキスパートの資格を持っているわたしの友人(女性)は、そのパーティーでは花形でした。多くの参加者が彼女から話を聞きたがっているのです。

 「日本のワインではどのワインがお薦めか」

 「シャルドネに合う日本料理は」

 といった話で大いに盛り上がっているのです。ワインの話でパーティーの参加者を魅了するからなのですね。

 また、テニスが大変に得意な外務省の元同僚の中は、テニスを通じて多数の外国人の友人を作り、他の大使館の同僚に比べて圧倒的に多くの人脈を作った人がいました。趣味の話ができる人や趣味が豊富な人は社交の場では人気があります。「芸は身を助く」というのは本当なのです。

 「そうは言っても、海外でPRできるほどの趣味を持っていない」

 「趣味といっても、読書くらいであまり会話が発展しない」

という声もあると思います。

 しかし、そこまで難しく考えなくても可能です。例えば、

  • お酒が好きな人なら、日本酒について渡航前に少し勉強して、日本酒の魅力などを話す
  • サッカーが好きであれば、サッカーが盛んなブラジルに行った際、日本のサッカー事情や日本でもブラジルの選手が有名であることを話題にする

などのように、自分の関心事項に少し日本独自の情報を追加して話をすればよいのです。

 わたしは、このような何気ない趣味の話を「隠し球」と呼んでいます。何でもない「球」(=趣味の話など)なのですが、タイミングよく注目される形で出すと、うまく個性を光らせることができます。

著者プロフィール:山中俊之

株式会社グローバルダイナミクス代表取締役社長。

1968年兵庫県西宮市生まれ。1990年外務省入省。エジプト、英国、サウジアラビア赴任。対中東外交、地球環境問題を担当、首相通訳、国連総会を経験。

外務省退職後日本総研入社、以後100団体以上の改革に関わり、3万人以上の研修を担当。研修では累計で1万以上のグローバル理解や人材開発に関する質問を受ける。2010年に独立して現職。日本企業、外資系グローバル企業のリーダーシップ、マネジメント、グローバル理解の研修の他、複数の企業・団体顧問として人材開発、グローバル化を支援。

イナモリフェローとして渡米、世界最高レベルのシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)にてグローバルリーダーの研鑽を積む。日米欧アジアの経営者が参加するコー円卓会議グローバルダイアログ参加者。世界最大級のスピーチとリーダーシップ研鑽の団体トーストマスターズクラブ会員。

東京大学法学部卒、ケンブリッジ大学開発学修士、ビジネスブレークスルー大学院大学MBA、大阪大学国際公共政策博士。


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