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「第8の習慣」が提示する、真のリーダーシップとはビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

どっちが相手のゴールかが分かっているのは11人の中でわずか4人。勝負に関心があるのはわずかに2人。そんな組織になっていないか。人を育て、組織を活性化させるためには?

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 なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。それは、時代は大きく変わったにもかかわらず、リーダーが依然として前時代的なパラダイムに陥ってしまっているからだとコヴィー博士は述べています。人に対するパラダイムが前時代的であるというのは、人を才能豊かで無限の可能性を秘めた存在としてではなく、単純な労働者、極端に言えば「モノ」として見ているということです。つまり、人に対するパラダイムを変えない限り、先ほどのような組織の状態がいつまでたっても変わらないのです。

 博士の言うリーダーシップとは、「人々に彼らの価値や潜在能力をはっきり伝え、彼ら自身の価値や潜在能力に気づかせること」です。価値と潜在能力という言葉に注目してください。人はみな、自分は一人の人間として価値ある存在であると認識しなければなりません。ある著名な人物が次のような言葉を残しています。「無駄にするのが一番もったいない資源は石油でも水でもなく、熱帯雨林でもない。 それは人間の能力だ。」

 人に対して前時代的な考え方や思考パラダイムが残ってしまうとき、私たちの企業や組織には、成功にはほど遠い結果が待ち受けているようです。その産業時代のパラダイムのままの組織において、従業員を「モノ」として扱い、生産性ばかりを追い求めてしまうと、なぜ、前述のような組織になってしまうのでしょうか。 

 「モノ」として扱われた彼らは、自分からリーダーシップを発揮するという選択肢などありえないと考え始めます。やがて自分がリーダーになることなど想像もできなくなり、自分の進むべき方向は権力のある人が決めるべきだと思い込んでしまいます。

 そうなると、ますますポジションが上のリーダーたちは部下に指示を出し、管理しなければという思いに駆られ、部下に行動を起こさせるには管理しコントロールするしかないと思い込みます。そしてマネージャーが部下を管理すればするほど、部下は指示どおりの態度しかとらなくなり、いっそうの管理統制が必要となります。ついには誰も責任をとらなくなり、リーダーと部下の間には互いの役回りについて暗黙の了解が成立します。

 少し極端かもしれませんが、現在こういう症状はいたるところで見受けられます。少しでも思い当たる状況があれば、今一度自分自身のパラダイムを振り返る必要があります。自分自身ではなく、他人に責任を押し付けているとしたら、あなたはみずからを無力化し、率先力、エネルギー、そして胸躍る興奮を自身の人生から失ってしまうことになりかねないのです。

 自分自身に対しても、他人に対しても、すべての人が一人の人間として価値があり、変化を起こし貢献することができる存在であるとパラダイム・シフトすることから、「真のリーダーシップ」はスタートするのです。

著者プロフィール:竹村富士徳

フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社 取締役副社長 筑波大学 客員教授

旧フランクリン・クエスト社の日本法人に入社。経営企画、経理全般、人事、プランナー関連商品の開発、販売、物流など多岐に渡って担当する。同社の売上げアップおよび利益改善に大きく貢献し、1997年同社副社長に就任。その翌年、コヴィー・リーダーシップ・センターとの合併に伴い、フランクリン・ コヴィー・ジャパン株式会社にて28歳の最年少で取締役に就任。 日本国内における同社事業の再構築の指揮を執り、2000年取締役副社長に就任。日本法人での利益率を大幅に改善し、インターナショナル部門でトップレベルの業績達成に貢献する。 著書に『タイム・マネジメント4.0 ― ソーシャル時代の時間管理術』 (プレジデント社)などがある。


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